2018年9月21日(金)

石炭火力 埋まる外堀 国際会議閉幕、特効薬なく

環境エネ・素材
2018/9/11 20:00
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 石炭火力発電への逆風が強まる中、11日までの2日間にわたって石炭に関する国際会議が東京都内で開かれた。低炭素化の流れを受けて、石炭火力がどう生き残るかを初めて議論した。環境対策の技術や手法などが紹介されたが、特効薬は見えない。二酸化炭素(CO2)排出への批判や発電所新設に対する融資の禁止などで外堀は確実に埋められている。

 石炭に関する企業や各国の政府関係者らが集まる「クリーン・コール・デー国際会議」は今回で27回目を迎えた。石炭を取り巻く厳しい現状を踏まえ、講演では「極めて強い逆風に立たされている」などと厳しい声が多く聞かれた。

 石炭火力は地球温暖化の原因となるCO2を多く排出する。2016年に発効したパリ協定では産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑え、21世紀後半にはCO2の排出を実質ゼロにする目標を掲げた。金融機関が火力発電への融資から撤退する「ダイベストメント」の動きが日本でも広がるほか、発電所の計画の見直しの動きも相次ぐ。

 石炭は石油や天然ガスに比べて価格が安い「経済性」や、資源国が多い「供給の安定性」で優位性がある。一方で、環境への負荷の高さが致命的な弱みになっている。

 会議では弱みを克服するため、「クリーンな石炭技術の追求が必要」との声が大半を占めた。Jパワー中国電力は石炭をガス化し、燃料電池と併用して効率を改善する発電所の実証試験を紹介。三菱日立パワーシステムズは調整が難しい石炭火力の発電量を変動させる技術を紹介したほか、出光興産は木質バイオマス(生物資源)と混ぜ合わせてCO2を削減する技術を披露した。

 世界石炭協会のミック・ビュフィエ副会長は「日本はクリーンな石炭技術でリーダーだ」と述べ、技術開発などでの日本の役割に期待を示した。

 都市化が進むアジアでは、電力需要が40年に16年度比で2倍超になると予想されている。日本の商社なども石炭火力への投資を続けている。20年には日本の高効率発電技術を生かし、Jパワーと伊藤忠商事がインドネシアでの大規模発電所を完成させる予定だ。

 ただ、石炭の環境性を抜本的に改善する道筋は見えていない。実証中の高効率の発電技術でもCO2の排出量はガス火力よりも多い。地中へのCO2の埋設もコストが高く、日本では事業化する場所などのメドは立っていない。

 風力や太陽光の低価格化が進む中で、海外で石炭は経済性でも脅かされつつある。逆風が強まる中、技術革新の速度を上げて環境問題を克服できるか。石炭の生き残りへ残された時間は少ない。

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