2008年9月20日 公的資金投入、7000億ドル規模か
リーマン・ショックダイアリー(16) This Day In 2008
週末土曜日の2008年9月20日も、米政府は共和・民主両党幹部など議会関係者と金融安定化対策について協議を続けた。焦点となったのは不良債権買い取りに投入する公的資金の規模だった。

米メディアが一斉に伝えた原案では、不良資産の買い取り額は最大7000億ドルに上るとされた。これは米国史上、最大規模の公的資金投入だった。
だが、この構想は大きな問題を抱えていた。一つはモラルハザード。議会や世論には、住宅ローンや証券化ビジネスの膨張で危機を招いた金融機関の責任を追及する声が高まっていた。2008年11月4日に大統領選を控え、野党・民主党は政府批判を強めていた。伝統的に政府介入を嫌う与党・共和党内にも公的資金の活用を疑問視する声は多かった。
もう一つの問題は規模そのものだった。7000億ドルは空前の金額ではあったが、専門家の間では「住宅ローン問題の解消には不十分」という見方がなお強かった。それほど、金融システムが負った傷は深かった。
シリーズ「リーマン・ショックダイアリー This Day In 2008」では、10年前の出来事と当時の日本経済新聞の報道、要人発言を基に、危機の進行を「リアルタイム」で再現する。