2018年11月13日(火)

プーチン氏、中国接近の打算(The Economist)

中国・台湾
ヨーロッパ
The Economist
(3/3ページ)
2018/9/12 2:00
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一つは、中国に向けたものだ。対空ミサイルシステムS―400や戦闘機SU―35など、ロシアの最新の軍事技術を売りつけ、公式な同盟国ではないのに最大規模の軍事演習に招待することで、プーチン氏は中国をもはや脅威と見なしていないということを示そうとしている(これまでロシアの指導者たちは、中国がシベリアや極東の広大かつ人口密度の低い地域を手に入れようとするのではないかと恐れていた)。そして、中国はロシアの信頼を得たお返しに、米国の制裁による影響を相殺できる規模の資金を提供すべきだ、というわけだ。

■もはや米中ロの関係の中心は米国ではない

もう一つは、欧米に向けられている。「これ以上ロシアが中国に取り込まれるのが嫌なら、制裁でロシアを窮地に追い込むのはやめろ」とのメッセージだ。もっともこうした考え方は、中国にロシアと緊密になりすぎると世界でロシアと共に孤立しかねないという警戒心、そして中国のロシアと戦略的同盟を結ぶことへの抵抗感を強めてしまう。ロシアを長年、観察してきた中国は、ロシアが欧米に資金や子供たちを預けており、依然として中国より欧米を志向していることをよく承知している。しかも、何かあればロシアがすぐ中国から欧米の方を向く可能性も知っている。

ロシアと中国がいくら関係を深めても、米国のことが気になって仕方がないという状況は、最近のロ中関係と、米国が70年代に築いたその原型とがいかに変わったかを物語っている。米シンクタンク、キッシンジャー・アソシエイツのトーマス・グレアム氏によると、70年代には米国が3国の中心に位置し、経済的にも軍事的にも強大な国として中ソと対話していた。だが現在、中心となっているのは中国であり、3国のうち最も弱いのは中国ではなくロシアだ。ただ、プーチン氏は弱い立場から勝負するのにたけている。中国との関係は日和見主義的かもしれないが、それでも米国に痛手を負わせることはできる。

だが、米国が長期的に懸念すべきは、中国が東欧諸国のほか、中央アジアやバルト3国を含む旧ソ連圏に、経済的および政治的に進出しようともくろんでいることだろう。それを心配すべきだという点では、ロシアも同じだ。

(c)2018 The Economist Newspaper Limited. Sept. 8, 2018 all rights reserved.

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