2018年9月20日(木)

台風21号の停電いまだ1万戸 被害広範囲、山間部で復旧苦戦

台風21号
関西
社会
2018/9/10 21:13
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 台風21号の影響により、関西の2府3県の約1万戸で停電が続いている。電柱や架線の被害が広範囲に及び、送電設備が被害を受けた山間部に作業員が容易にたどり着けないためだ。関西電力は作業員らを当初の1.5倍に増員して復旧を急ぐ。台風の上陸から11日で1週間を迎えるが、全面復旧にはなお時間がかかる見通しだ。

関西電力は停電の復旧作業を急ぐ(5日、京都市西京区)=同社提供

 京都市左京区の山間部は10日午後6時時点で停電が続く。150戸弱が暮らす花脊地域では、8日夜に関電が発電車1台を出張所に設置したが、出張所から離れた世帯までは電気が届かず、関電は携帯可能な発電機を貸し出している。市の防災担当者は「住民は冷蔵庫に食料も保存できず、思うように風呂にも入れない状況が続く。疲れもたまっているようだ」と話す。

 「復旧はいつになるのか」。町内の山間部で停電が続く和歌山県の紀美野町役場には10日午後も、住民からの問い合わせが相次いだ。担当者は「停電している地域は一戸建てで高齢者世帯が多い。電話も通じず、連絡が取れていない住民もいるはず。ここまで停電が長期化するとは……」と話した。

 関電によると、大規模停電は電柱が強風で倒されたり、電線が飛来物で切断されたりして配電機能が失われたのが原因とみられる。近畿などの2府6県で停電したのは延べ約224万戸。家庭への引き込み線の切断や電柱の変圧器の故障による停電戸数は把握しきれていないという。

 10日までに大半が復旧したが、同日午後3時時点でも約1万650戸で電気が途絶えたまま。和歌山県の約7千戸が最多で、京都府も約3千戸に上る。

 台風21号は関西などの広域で猛威を振るった。停電復旧が長期化するのは、被害地域が広範囲に及んだことが背景にある。関電によると、1995年の阪神大震災では約260万戸が停電したが、約1週間で全面的に解消した。関電の担当者は「震災では神戸市中心部など兵庫県南部に停電が集中していたが、今回は広範囲に及んでいるため時間がかかっている」と話す。

 設備の修理がとりわけ遅れているのが山間部だ。道路が倒木や崩れた土砂にふさがれ、作業員の立ち入りもままならない場所もあるという。倒木は数本ならチェーンソーで切断するが、被害がひどい場合は自治体に撤去を依頼しなければならない。関電の担当者は「現場に到着するのも一苦労だ」と話す。

 関電は8日、当初は約8千人だった復旧人員を約1万2千人に増強。電線張り直しなどの作業を急ぐが、担当者は「完全復旧がいつになるかは見通せない」と話す。

 停電被害、台風の東側に集中

 台風21号が通過した近畿を中心に発生した停電被害は、台風の進路の東側に集中していたことが民間気象会社「ウェザーニューズ」(千葉市)の調査で分かった。台風の進路東側は西側に比べて風が強く、「危険半円」とも呼ばれる。台風21号でもこの地域では最大瞬間風速が30メートルを超えたところが多く、停電が多発していたという。

 ウェザーニューズは天気予報アプリの利用者から集まった各地の停電の報告と、アメダスの最大瞬間風速のデータを地図上で重ね合わせた。7千件を超す停電報告は主に和歌山県や大阪府など台風の進路東側から寄せられており、30メートルを超える最大瞬間風速を観測した地点と重なっていたという。

 同社によると、台風の進路東側は危険半円とも呼ばれ、台風に向かって吹き込む反時計回りの風と進行速度が合わさるため西側に比べて風が強まる。

 関西電力はより強い風が吹いた場所で、電柱や架線など送電設備への被害が集中したと説明。台風進路の東側では倒れた電柱や倒木が多く、復旧作業に時間がかかっているという。

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