2018年11月18日(日)

米・EU、閣僚級通商協議が始動 車関税巡り綱引きも

トランプ政権
ヨーロッパ
2018/9/10 23:00
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【ストックホルム=森本学】米国と欧州連合(EU)は10日、ブリュッセルで閣僚級交渉を開き、7月の首脳会談で合意した工業品の関税撤廃を目指す通商協議を始動した。EUが自動車も対象に含めることに前向きな一方、米国は難色を示すなど具体策を巡って溝が残る。トランプ米政権はEU製自動車への追加関税は当面棚上げする方針だが、協議が難航すれば高関税を再び振りかざす可能性もくすぶる。

トランプ米大統領とEUのユンケル欧州委員長が7月に通商協議入りで合意した後、初の閣僚級の会合となる。米国からはライトハイザー通商代表部(USTR)代表、EUからは通商政策を担うマルムストローム欧州委員が出席した。

米とEUは(1)自動車を除く工業製品の関税撤廃(2)鉄鋼・アルミを巡る追加関税・報復関税の問題解消(3)世界貿易機関(WTO)改革――などの具体策を詰める。EU高官によると、11月末をめどに検討結果を首脳に報告する方針だ。

ただ「関税ゼロ・非関税障壁ゼロ・補助金ゼロ」を掲げる同協議を巡り、米欧間の主張は早くも食い違う。首脳会談では自動車は対象から除くことで合意したが、EU高官は「最終的には自動車も含まざるを得ない」とみる。

WTOルールでは自由貿易協定(FTA)は「実質的にすべての貿易」での関税撤廃が締結の条件とされる。EUは貿易量の90%以上を満たす必要があるとみており、自動車を含まなければWTO違反になる恐れがあると説明する。

トランプ氏は「EUの輸入車関税は10%と米国の2.5%より高く、不公平だ」とEUを批判してきた。だが現実には米国は米自動車大手が軸足を置くピックアップトラックやバンなどの輸入車には25%の高関税を課している。「関税ゼロ」で自国メーカーが打撃を受けるのは避けたいのが本音だ。

初日の会合では溝は埋まらなかったもようだ。マルムストローム氏は協議終了後、ツイッターへの投稿で「やらなければならないことがまだたくさんある」として、9月末に再協議する意向を示した。

一方、EUは米国産牛肉の輸入拡大も協議する構えをみせる。7月の首脳合意には盛り込まれなかったが、成長を促すホルモン剤を使用していない高品質牛肉の輸入を巡って、無関税割当枠での扱いを見直す協議の準備に入った。

中国との貿易戦争に伴う報復措置で打撃を受ける米畜産農家への配慮を示し、11月に米議会中間選挙を控えるトランプ氏に恩を売る狙いがあるとみられる。トランプ氏がEUとの対決モードへ再び変心するのを避け、EU製自動車への追加関税の回避を確実にしたい思惑もにじむ。

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