2018年11月17日(土)

ICT活用ハウス栽培で収量3倍、都農林センター

東京
2018/9/10 22:00
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東京都農林総合研究センター(立川市)はICT(情報通信技術)を活用し、ビニールハウスで効率的に野菜を生産するシステムを開発した。温度や水などをコンピューターで最適に保ち、生産量を3倍程度に増やす。安価な機器を利用するなどし、既存の海外のシステムに比べ費用は半額以下に抑制。都内の限られた農地でも高収益の農業経営を実現する狙いだ。

タブレットで生育環境を確認できる(東京都立川市の都農林総合研究センター)

都内では都市化で農地面積が減っているうえ、農家の平均年齢も63.9歳(2015年)と高齢化が進む。都は農家の収益性を高めて農業の担い手減少を食い止めたい考え。大消費地という立地を生かして都内産野菜の普及を進める方針もあり、ICTを組み合わせた生産システム構築に取り組んだ。

開発したのは「東京型統合環境制御生産システム」。ハウス栽培で先進的なオランダにも制御システムがあるが、大規模農家向けで1億円以上かかる高額なものが多いとみられる。都内の小規模農家が導入してもスケールメリットが出ないという課題があった。

そこで、システムの要となるコンピューターは農業用ではなく、産業用の汎用品を利用してコストを下げた。農家の初期投資費用は3000万円程度となる見通しだ。ハウス内の機器を統合的に管理し、センサーが感知した温度や湿度、水、肥料などのデータをもとに生育に最適な環境を保つ。タブレットと連動させ、窓の開閉なども遠隔操作できるようにする。

ハウスについても、骨格となるパイプを道路標識などで使われる安価な太い製品で代用してコストを下げる。太いパイプを使うことで強度が増し、パイプ数は半減。採光性も高まり、糖度が高いトマトを栽培できるようにした。ビニールを二重にして断熱性を高め、空調コストも抑える。

需要が高いトマトのほか、キュウリ、パプリカのハウス栽培を想定している。センターが16~17年度に栽培試験したところ、トマトの年間収穫量は0.1ヘクタールあたり50トン超と通常のハウス栽培の3倍にのぼった。8月からあきる野市の農家で実証実験も始め、システムがうまく機能するか確認する。

システムはハウス施工会社が19年度以降に販売する。高齢の農家などには導入のハードルが高いため、都は補助金の活用を後押しする考え。「都内に限らず全国の小規模農家にも役立ててもらいたい」としている。

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