2018年11月16日(金)

イラン産原油割安感強まる 米制裁前に安値販売

環境エネ・素材
2018/9/10 19:30
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イラン産原油の割安感が強まっている。代表油種は競合するサウジアラビア産に比べた価格差が1年前の3倍に拡大した。米国は11月にイラン産原油を対象にした経済制裁を復活させる。イラン側が低い価格を設定し、輸出量の急減を抑える思惑があるとみられる。低価格により供給がさほど減らなければ、原油価格の上昇を抑える可能性がある。

安値で販売先を確保するとの見方もある(イランの油田)=ロイター

安値で販売先を確保するとの見方もある(イランの油田)=ロイター

中東産原油のアジア市場での指標はドバイ原油とオマーン原油の平均価格だ。原油には比重や硫黄分といった性質の違いで様々な油種がある。

中東産油国は油種ごとに調整金を設定。指標価格にこの金額を上乗せしたり割り引いたりすることで実際の価格が決まる。価格差は調整金の差に表れる。

イラン産の代表油種の一つ「イラニアンヘビー」の9月積みの調整金は1バレル0.90ドルの割引。性質が近いサウジ産の「アラビアンミディアム」は同0.05ドルの割引で、イラン産が0.85ドル安い。8月積みの差は0.65ドルだった。1年前の0.27ドルと比べるとイラン産の割安感が目立つ。

トランプ米政権は5月、核合意から離脱しイランへの制裁を再開すると表明。11月4日までにイラン産原油の輸入をゼロにするよう各国に求めてきた。

市場参加者の間では「購入が減り始め、イランは輸出先の取りこぼしを防ぐため割引を強めている」との見方が目立つ。

イラン産原油の最大の買い手である中国は米国の禁輸要請に応じない方針だ。米国との関係が悪化するトルコも制裁に同調しない構え。インドは一定の輸入を続ける可能性が指摘されている。

2016年初までの前回制裁で、イランの輸出量は日量100万バレルほど減った。価格競争力を高めることでイランが輸出の落ち込みを抑えられれば、世界の供給不足への懸念はある程度和らぐ。国際価格の上昇圧力が抑えられる可能性もある。

日本への影響は限られそうだ。日本の石油元売り大手はイランからの原油輸入を一時停止すると正式に決めた。韓国も既に輸入を止めたと伝えられている。

米国の制裁は米国以外の企業にも及ぶ。適用除外を受けられない限り、日韓の企業は割安でもイラン産原油に手を出す可能性は低い。石油製品などの国内の流通価格にイラン産の安値が直接反映されることはなさそうだ。

▼イラン産原油 2017年のイランの原油生産量は日量380万バレルと、石油輸出国機構(OPEC)の中で第3位。コンデンセート(超軽質原油)と合わせた輸出先は中国が最大で、インド、韓国、日本などアジア向けが6割を超えた。日本は17年の輸入原油のうち約5%がイラン産だった。
 米国が経済制裁を再開すると表明し、イランの輸出が減るとの観測から原油相場は上昇。ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は7月に一時1バレル75ドル台に乗せ、3年7カ月ぶり高値をつけた。

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