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出水田と星野陸、男子ゴルフの大型スター候補

編集委員 吉良幸雄

世界のゴルフ界は大型化の一途をたどり、米ツアーではダスティン・ジョンソンやブルックス・ケプカ(ともに米国)ら、ロッキー山脈のような大男たちが世界ランキングトップ3に名を連ねる。米ツアーで通算3勝した丸山茂樹は、以前から「身長180センチ以上」を米ツアーでの活躍の条件として挙げていた。米ツアーで5勝、プレーオフシリーズ第2戦、デル・テクノロジーズ選手権で4位に入った松山英樹は181センチとハードルをクリアしている。40年以上前から日本ツアーをけん引、海外でも活躍した「AON」(青木功、尾崎将司、中嶋常幸)もいずれも180センチ以上だ。

近年は"ダウンサイジング"が目立っていたが、3週前のRIZAP・KBCオーガスタ(福岡・芥屋GC)で183センチの出水田(いずみだ)大二郎(25)、先々週のフジサンケイクラシック(山梨・富士桜CC)は186センチの星野陸也(22)と、いずれも賞金シード1年生が2週連続で初優勝。待望久しいビッグな若手がスター候補として誕生し、脚光を浴びている。

KBCオーガスタでツアー初優勝を果たし喜ぶ出水田=共同

プロ8年目の出水田は2017年、前年の下部ツアー賞金ランク7位の資格でツアー参戦した。昨季の日本プロ選手権の10位が最高ながら、賞金ランク66位で初シードを獲得。2日目に首位に立ったKBCオーガスタでは、初の最終日最終組でも3打伸ばし、2位の崔虎星(韓国)を1打差で振り切った。

知名度は低いが、九州では名の知られた存在だ。鹿児島県鹿屋市出身で、横峯さくらの父・良郎氏が主宰する「めだかクラブ」でゴルフを始め、鹿児島・樟南高1年の08年から10年まで九州ジュニアを3連覇。11年にプロ転向、12年に下部ツアーでデビューすると2戦目の「きみさらずGL・GMAチャレンジ」(千葉)でプロ初優勝を飾っている。体格に恵まれ、下部ツアーとはいえ19歳での優勝は才能のある証左。ただ、コーチの指導を受けるため、宮崎で一人暮らしを始めたら「(生活が)だらけて」伸び悩んだ。「このままじゃ、イカンぞ」。両親に諭され、4年前に鹿屋市の実家に戻ったという。

今季はKBCオーガスタ前までは11戦して34位がベスト。日本ツアー選手権森ビル杯からセガサミー杯まで3試合連続予選落ちし、7月下旬のISPSハンダ・マッチプレー選手権では1回戦で敗れていた。「シードも危ない状況」だったのに、優勝によって来季から2年間のシード獲得と、見事な反転攻勢だ。ツアーの「夏休み」の間に、地元で練習してカメラの動画でスイングチェック。宮崎のインドア練習場で先輩プロからアドバイスももらい、ダウンスイングでクラブが鋭角に入りすぎていたのを入射角を浅くするよう意識してショットが安定、飛距離も伸びたという。

秋吉の活躍、大きな刺激に

ゴルフ部の寮で同部屋だった樟南高の2年先輩、秋吉翔太が今季2勝とブレークしたのも大いに刺激になったという。マイナス思考でちょっと気が弱く、気合が空回りしがちだったが、多くの選手が手を焼いた芝目の強い芥屋の高麗グリーンで、パットがさえわたった。面倒見がよく、昨夏から一緒に練習ラウンドを行っている元賞金王の小田孔明は「翔太はもう(ゴルフが)完成している。大二郎は飛ぶけれど粗かった。でも初優勝で自信になったのではないか。2人ともクラブを振れるし、若いからイケイケ」と九州の後輩の活躍に目を細める。出水田の目標は2年後の東京五輪出場。「1勝目は勢いといわれる。2勝目を目指し、目の前の一試合一試合を頑張っていきたい」

胸板が厚く、がっしりたくましい出水田に比べ、星野陸はひょろりとしたノッポくんの印象がある。だが片山晋呉や宮本勝昌らを輩出した茨城・水城高を経て日大を2年で中退。16年8月にプロ転向すると、12月のツアー最終予選会を通算31アンダーと最多アンダー記録で1位突破、「大器」登場と注目を集めた。昨季のシンガポールでの開幕戦で6位、ミャンマーでも9位に。下部ツアーの開幕戦も制すると、ツアーでは計6回トップ10入りし、ランク31位でシード権を獲得している。

フジサンケイクラシックでは初日から首位を突っ走り、通算16アンダーで完全優勝(4日間とも単独首位)を飾った。初優勝が完全優勝だったのは、1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)発足以来5人目。05年に静岡・川奈から富士桜に会場が移ってからの優勝記録(通算13アンダー)を3打塗り替えた。予選2日間首位だった4月のパナソニックオープン(大阪・茨木CC)では3日目に崩れ10位に終わったが、今回は首位を一度も譲らず、2位の今平周吾に5打差をつけて快勝した。

星野陸の武器は長身で大きなスイングアークを生かした飛距離=共同

星野陸の武器は、何といっても長身で大きなスイングアークを生かした飛距離だ。同大会ではドライバーショットが曲がりがちで、3番ウッドを多用しながら、平均飛距離は325.5ヤードと出場選手中2位。フェアウエーキープのためティーアップをやや低くし、8割程度の出力でライン出しをしても軽く290~300ヤード飛ばせるから、「モンスターコース」と喧伝(けんでん)されるコースの長さも全く苦にしなかった。初日に「難しいコースは好き」と話した通り、マネジメントを考えコース攻略を楽しんだ。8月の2日間競技、札幌オープンでボギーなしの計15バーディー。4連続バーディーを奪いツアー4勝の金亨成(韓国)に逆転勝ちしたことも、最終日の優勝争いでの落ち着いたプレーにつながったとみられる。

マネジメント会社は5歳上の石川遼と同じ。兄貴分の石川からアプローチやパットの小技を教わり、進境著しい。新井マネジャーは「高校時代はアプローチは下手だったけれど、遼との沖縄合宿などですごく練習し、うまくなりつつある」。今大会でも第3、最終ラウンドでチップインバーディーを決めるなど、巧みな小技が光った。「(体調不良で欠場した)石川遼さんの代わりに大会を盛り上げたいと。やっと(周囲の)期待に応えられた」

昨年は随分細かった腰回りも、ちょっと大きくなってきた。「プロテインを飲んだり、ラウンド中もなるべく食べたりするようにしている」。6月の全米オープン選手権で海外メジャーに初出場し「長い目で見て、体づくりが大切だと気づいた」という。シーズン中もダンベルで上半身を鍛えるなど、トレーニングを欠かさない。開幕後に落ちた体重はもとに戻り現在76キロ。「80キロ以上に増やしたい。日本で経験を積んで、早く海外で活躍したい。25、26歳では米ツアーにいってみたい」と話す。目標はマスターズ、全米オープン両選手権など海外メジャー制覇。賞金ランクは21位から4位に浮上し「チャンスをものにして、賞金王を狙っていきたい」と力強く語った。

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