ネット向け投信が拡大、残高1兆円突破
主にインターネット経由で取引される投資信託の純資産総額(残高)が拡大している。ネット向け投信の残高は8月末時点で初めて1兆円を突破した。

ネット向け投信の残高は、三菱UFJ国際投信による分類をもとにQUICK資産運用研究所が試算した。集計対象は主にネットで取引される低コストのファンドのうち、運用各社がシリーズで展開しているインデックス型(指数連動型)投信。
ネットでの取り扱いが中心の投信は、信託報酬や販売手数料などのコストが比較的安い。日常的にインターネットを使う現役世代などによる活用が増え、残高は過去5年で6.5倍になった。残高が65兆円程度ある追加型株式投信全体(ETFを除く)に占める割合はまだ小さいが、着実に存在感を増している。
シリーズ合計残高の上位をみると、トップは三菱UFJ国際の「eMAXIS」で2998億円。8月下旬には残高が3000億円を上回る場面があった。このうち「eMAXIS Slim」はコストに敏感なネット投資家を意識して立ち上げたシリーズで、「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」という方針を打ち出している。
2位の「SMT」は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが2008年に運用を始めた国内初のインデックスファンドシリーズだ。3位はニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なし」シリーズだった。
個別のファンドをみると、残高1位はニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」。18年8月末時点の残高は、月末ベースで初めて1000億円台に乗せた。先進国株の代表的な指数である「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円ベース)」に運用成果を連動させる。上位5本はどれも海外や国内の株式で運用するファンドだった。

(QUICK資産運用研究所 西田玲子)