2019年4月24日(水)

いろんな価値観伝えたい 少部数本を集めた書店、名古屋

2018/9/8 11:49
保存
共有
印刷
その他

名古屋市千種区の古びたマンションの一室に、発行部数が少なく一般には流通しない本を扱う書店がある。黒田義隆さん(36)と杏子さん(37)の夫婦が営む「ON READING(オン リーディング)」。個人出版の冊子などを国内外から集めた店には「いろんな価値観が世の中にはあることを伝えたい」との思いを込めた。

個人出版の冊子などを集めた書店「ON READING」を営む黒田義隆さん(右)、杏子さん夫婦(名古屋市)=共同

書店「ON READING」に並ぶさまざまなジャンルの本(名古屋市)=共同

表通りに面したスロープを進み、階段を上がった2階に店はある。スロープに掛かった小さな看板が目印だ。約55平方メートルの店内を見回すと、音楽家が音楽以外について語ったエッセー集や北海道土産の木彫り熊のルーツをたどる本などが目に留まる。

個人が自費で編さんした「ZINE(ジン)」と呼ばれる冊子を多くそろえる。ジャンルはさまざまで選書の基準は「読んですぐに答えの出ない本」と杏子さん。新刊や古書もあるが「実用書はほとんど置いていない」という。

店名の由来は、ハンガリー出身の写真家による同名の写真集。さまざまな国の人々が読書にふけっている様子を収めた、その写真集を手に取り、義隆さんは「自分もこんな風景をつくりたいと思った」と話す。2011年1月に市中心部から移転した際に改めた。

客層は20~30代の若者をはじめ、ファミリーや中高年まで幅広い。最近は中国や韓国など海外からも増えているという。夫婦で自ら出版も手掛け、年2、3点のペースで刊行を続ける。併設のギャラリーでは、イラストや写真の展示、作家のトークイベントも開く。

雑誌の休刊が相次ぐなど出版不況が叫ばれ、街の本屋が次々と姿を消している。義隆さんは「画期的な打開策はなく、地道な工夫を積み重ねるしかない」と考える。「切実な思いで作られた本にこれからの希望がある。そんな本を紹介していきたい」と笑顔で話した。

〔共同〕

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報