2019年5月26日(日)

北関東の待機児童3割減 4月時点、「隠れ」なお多く

2018/9/8 1:00
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厚生労働省は7日、希望しても保育所に入れない待機児童(4月1日時点)の状況をまとめた。北関東3県は455人と前年に比べて194人(30%)減った。保育施設の整備など解消に向けた取り組みが進み、茨城と栃木は減った。待機児童数に算入されない「隠れ待機児童」の多さなど、保育サービス提供の観点からは依然として未解決の問題が残っている。

待機児童解消には保育士の確保・定着も欠かせない(2017年度の茨城県の保育士向け研修会)

3県で待機児童数が最も多い茨城県は386人と前年比で25%減った。水戸市で30人と73%減った影響が大きかった。同市は17年度に民間保育所や小規模保育所(ミニ保育所)の整備で定員を232人分増やした。県内最多はつくば市の116人。つくばエクスプレス(TX)沿線で人口流入が続き、施設整備が追いつかない。

栃木県は41人と17年に比べて69%減った。那須塩原市や大田原市、真岡市での減少が目立った。県こども政策課は「保育所や認定こども園の新設や定員枠の増加の成果が出ている」とみる。

一方、群馬県は14倍の28人だった。ベッドタウンとして人気で、県内で最も人口増加率が高い吉岡町は15人。「町に転入する方には共働きの家庭も多い」(こども福祉室)といい、特に1歳児の待機児童が目立った。町内には公立の保育園や認定子ども園がなく、社会福祉法人に園舎の建て替えなどを要請。30人の定員増を計画する。

前橋市でも9人の待機児童が発生した。「保育園などの定員枠は増やしたが、利用希望者がそれを上回った」(子育て施設課)。国と情報交換して支援を要請するほか、市内で園舎を改修する際は受け入れ人数の拡大を求めていく。

待機児童数が減った茨城、栃木でも課題は残る。待機児童数にはカウントされない「隠れ待機児童」がその一例だ。特定の保育施設を希望する場合などは公表値から除外できる。茨城県は1466人と前年同期から17%増加。栃木県では851人へと3割増えた。

宇都宮市の待機児童は2年連続ゼロだったが「隠れ」は373人と県全体の4割を占めた。市は定員に空きのある近隣の施設を個別に提案するなどしているが「利便性や教育方針から特定の保育所を希望する親が多い」(保育課)。落選すると受け取れる保留通知を勤め先に提出し「育休の延長を狙う保護者もいる」(栃木県こども政策課)という。

このほか、保育士確保の厳しさも課題の一つに挙げられる。待機児童数が3県で最多の茨城県では17年度の保育士の有効求人倍率(原数値)は2.88倍と全国(2.61倍)を上回る。

つくば市では保育士の処遇改善として月3万円などを補助。保育士の確保や離職防止を図っている。県も18年度から潜在保育士の掘り起こしに向け、保育人材バンクを設置。今後は「保育士ではない方にボランティアで保育所を手伝ってもらえるような仕組みも検討したい」(大井川和彦知事)という。

待機児童の解消には受け皿の拡大が不可欠だが、3県とも人口は減少傾向にある。待機児童の9割を占める0~2歳児を原則対象にした「ミニ保育所に特化して整備を進める」(水戸市幼児教育課)など、的を絞った対策の重要性が一段と増している。

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