半導体株に売り圧力 受注鈍化 改めて警戒
世界の半導体株に下げ圧力が強まっている。7日の東京株式市場では東京エレクトロン株が一時7%安と急落し、年初来安値をつけた。6日に米国の半導体関連企業が、下期の出荷量の回復が限定的との見方を相次いで示したことがきっかけだ。当面の半導体需要に対して弱気な見方が増えており、業績の伸びが鈍化するとの懸念が改めて高まった。
東エレクはほぼ1年ぶりの安値をつけた。SCREENホールディングスやアドバンテスト、東京精密やアルバックも7~8%安となった。
アジアの株式市場でも、韓国半導体大手のSKハイニックスが4%安、サムスン電子も3%下落した。香港市場では半導体の受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が下げた。
6日には米半導体検査・計測装置のKLAテンコールが、18年10~12月期には半導体出荷の回復ペースが想定を下回りそうだとの見方を表明。米マイクロン・テクノロジーもデータの長期保存のために用いるNAND型フラッシュメモリーの価格が下落するとの見通しを示した。
収益の伸びが鈍化すると改めて意識され、米国株式市場ではKLAやマイクロン・テクノロジー株が前日比10%安となった。警戒感は他の銘柄にも及び、半導体製造装置大手のアプライドマテリアルズは5%下げて、1年5カ月ぶりの安値を更新。同業のラムリサーチも7カ月ぶり安値をつけた。
半導体関連銘柄は、17年11月末に米モルガン・スタンレーが需要や業績の見通しを疑問視するリポートを発表してから「徐々に弱気派が増えていた」(国内証券の情報担当者)。東京エレクトロンは17年11月の上場来高値(2万3875円)から約3割下落している。今年1月までの株高は半導体株が一役買ったが、それ以降は全体相場の重荷になっている。
もっとも、「7日の売り手の大半は悪材料に反応した海外ヘッジファンドなど短期の投資家にすぎない」(国内証券のトレーダー)との指摘がある。中長期的には自動運転車の普及などで「保存すべきデータの容量が増える傾向は変わらず、半導体の需要は高水準が続く」(三菱UFJ国際投信の友利啓明氏)とみて、強気の投資姿勢を維持する向きもある。
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