ルネサスエレクトロニクスとGEヘルスケア・ジャパンは、人工知能(AI)処理機能を製造機械に追加する実証実験を実施、生産性を上げられることを確認したと2018年9月4日に発表した。同製造機械が関わる工程での不良品の発生を最大約65%削減できることが分かったという。
■不良品65%削減
今回の実証実験は、GEヘルスケア・ジャパンの日野工場で実施した。17年8月から18年6月まで、ある製造機械にルネサスの「AIユニット」と呼ぶ装置の試作機を取り付け、異常検知による不具合の早期発見や、不良品の低減効果に対する実証実験を行った。
AIユニットの試作機には機械学習済みのモデルが組み込んである。製造機械から出力される波形データを細かく計測して分析することにより、従来は見えなかった加工の状態を把握できるようになった。
異常な波形を検知したときは、リアルタイムにアラームを出し、製造を一時停止する。これにより、不良品の発生を最大約65%削減し、大幅な生産性向上が可能であることを確認したとする。
さらに、日野工場で既導入の産業用のあらゆるモノがネットにつながるIoTプラットフォーム「Predix」(GEデジタル製)に判定結果をアップロードして、機械の状態をクラウド側でもリアルタイムに共有できることを確認した。
今後、日野工場では、AIユニットを量産用の製造機械に取り付ける予定だ。また、AIユニットとPredixとの連携を強化し、製造機械の長時間トレンドを分析するなど、さらなる生産性の向上に向けてルネサスとGEヘルスケア・ジャパンは協業していくという。
(日経 xTECH 小島郁太郎)
[日経 xTECH 2018年9月6日掲載]