2018年9月20日(木)

北海道地震 続く停電 止まる工場・使えぬATM

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2018/9/7 6:54
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 6日未明に発生した北海道地震は停電が道内全域に及び、企業活動や農業、市民の暮らしに影響が広がった。

 変速機などの車部品を生産するトヨタ自動車北海道(北海道苫小牧市)は同市内の工場の稼働を停止した。従業員の被害はないが「建屋や設備の被害を確認中」(トヨタ広報部)。変速機は愛知県内の工場でも生産しており、トヨタ自動車の完成車工場は7日も通常稼働する予定だ。

土砂崩れで倒壊した家屋で救助活動をする警察官ら(7日午前、北海道厚真町)

土砂崩れで倒壊した家屋で救助活動をする警察官ら(7日午前、北海道厚真町)

 北海道は東京、大阪に次ぐコールセンターの集積地でもある。最大手のトランスコスモスなどで電話受付に支障が出た。

 NTT東日本は北海道に2カ所のデータセンターを持つ。顧客のデータを扱うため給電の優先順位は社内の施設の中でも高く、地震発生直後からディーゼルなどの自家発電に切り替えた

 全国への影響が心配されるのが農産品だ。北海道は2016年の農業産出額(9兆2千億円)のうち1兆2千億円と13%を占め国内首位にある。牛乳やバターの原料である生乳は北海道の産出額が全国の49%を占める。

 道内の牛乳・乳製品の工場は6日現在、よつ葉乳業の2工場を除き大手は操業を停止した。自家発電設備のない酪農家は搾乳機が動かせない。とかち村上牧場(上士幌町)は「半日ほど搾乳ができない状態。手で搾るか検討し始めた」という。今年は本州を中心に猛暑が続き生乳が不足気味だった。「頼みの綱の北海道産が危うくなるとは」(大手乳業)と危惧する声もある。

 北海道はコメも17年産の主食用米の収穫量が首位だった。「ゆめぴりか」は沖縄のスーパーでも扱う人気銘柄で、道内の電力供給や物流の寸断が続けば、本州以南にも影響を及ぼしかねない。

 厚生労働省によると、6日午後3時時点で北海道内の349医療機関が停電。このうち34カ所は災害拠点病院で、非常用電源を使って患者を受け入れた。道内の多くのガソリンステーションには長蛇の列。旭川石油永山ステーション(旭川市)は地震直後の停電から復旧し、約5時間後にガソリンが売り切れた。

ガソリン給油のため渋滞する車の列(6日午後、北海道江別市)=共同

ガソリン給油のため渋滞する車の列(6日午後、北海道江別市)=共同

 コンビニエンスストアでは商品の品薄が続く見通し。大手各社は道内で売る弁当やおにぎりを道内で製造しており、工場が停電で止まったためだ。各社は本州から空路や海路でパンや加工食品、飲料などを供給する検討を始めている。セブン&アイ・ホールディングスは6日、ANAホールディングスとカップ麺2万4千食を空輸したと発表した。

 金融機関では停電のためATMが動かなかった。ゆうちょ銀行のATMが全域で止まったほか、セブンイレブンなどにATMを設置しているセブン銀行は一時、約1000台が利用できなくなった。あおぞら銀行は札幌支店の店内ATMが停電で使用できなくなり、窓口で入出金などに対応。店舗のシャッターが開かず、顧客を行員通用口から店内に誘導した。

 北洋銀行は道内170店舗のうち札幌本店を含む主要地区の約50店しか開けなかった。北海道銀行も140店で開店できたのは27店だけだった。

 消費や地価をけん引してきた訪日外国人客への影響も懸念される。6~7月に地震や豪雨が発生した際には、実際に訪日客数の伸びが鈍化した。「日本語ができないので、状況が分からずに困っている」。観光で札幌市を訪れていた中国人女性は困惑した表情を浮かべていた。

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