2018年11月13日(火)

「反米」3首脳、シリアで連携 反体制派「最後の砦」攻撃を準備

ヨーロッパ
中東・アフリカ
2018/9/6 17:18
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【ベイルート=岐部秀光、モスクワ=小川知世】イランのロウハニ大統領とロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領は7日、イランで首脳会議を開く。米国との関係が悪化する3首脳は、内戦が続くシリアの過激派掃討や復興のほか、イラン核問題でも連携を確認する見通し。中東から撤退する米国の空白を埋め、存在感を示す狙いがある。

ロシア政府によると、3者は「シリア情勢の長期的な正常化」を協議する。2国間の首脳会談も行う予定だ。

ロシアやイランが後ろ盾となっているシリアのアサド政権は、北西部イドリブ県で反体制派の最後の拠点への攻撃を準備している。プーチン氏とロウハニ師は、反体制派を支援してきたエルドアン氏に作戦の受け入れを説得するとみられる。

シリアの停戦や和平をめぐっては、ロシアとイラン、トルコが主導する「アスタナ・プロセス」と、国連が主導し欧米も関わる「ジュネーブ・プロセス」が並行して進んでいる。国連のデミストゥラ特使は来週、米国をふくむ関係国をジュネーブに招いて会合を開く。

アサド政権と反体制派の交渉が行き詰まるなか、シリアの行方はロシア主導の色が濃くなっている。ロシア軍は過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で決定的な役割を果たした。アサド政権軍が単独で反体制派を掃討するのは不可能で、ロシアの影響力は大きい。

ロシアにとって中東は大国としての存在感をアピールできる数少ない足場だ。対欧米の交渉材料にする考えで、8月にドイツのメルケル首相と会談したプーチン氏は、シリア移民の帰還に向けた協力を求めた。ロシアはドイツやフランス、トルコを含めた4カ国協議も提案している。

イランのハタミ国防相は8月26日にシリアを訪れ、軍事協力の合意書に署名した。イランが支援するシーア派の民兵組織はシリアで強力な地上部隊としてアサド政権軍を支えている。イラク、シリアを通りレバノンに至る「シーア派の回廊」を国防のカギとみるイランにとって、アサド政権の存続は極めて重要だ。

イランは今回の首脳会談を主催し、対立する米国をけん制する。イラン核合意から離脱したトランプ政権が制裁包囲網を強めるなか、ロシアとトルコに貿易や投資関係の継続で協力を求める。

一方、トルコも牧師拘束問題による米国との関係悪化を念頭に、ロシアやイランと連携を深めている。トルコはシリア北部で米国が支援するクルド人が独立国家創設に動くことを警戒している。

トルコはこれまでシリアの反体制派を支援し、ロシアやイランとは立場が異なっていた。しかし、トルコはイドリブの反体制派の一部を「テロ組織」と最近になって認めた。アルカイダ系など一部の戦力に対する一定の攻撃を容認するとみられる。

3者が連携を強める背景には、トランプ政権がイラン核合意から離脱し、エルサレムに米大使館を移すなど中東をかく乱していることがある。トランプ米大統領はシリアから撤退する意向を重ねて表明。前任のオバマ政権の政策をことごとく覆す一方、中東と距離を置くという点は一致する。ただ、3者の思惑は様々で、長期的な中東安定への道筋は見えていない。

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