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逆境はね返すか稀勢の里 力士人生懸けた秋場所

2018/9/6 16:45
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8場所連続休場中の横綱稀勢の里(32)が、進退が懸かる秋場所(9日初日、両国国技館)に出場することが6日、決まった。本場所の出場は1月の初場所以来4場所ぶり。以前に比べれば動きは格段によくなったものの、相撲内容など不安は尽きない。視界不良のまま、力士人生を懸けた試練の場所へ挑む。

「やれることはやった。しっかり準備できた」。千葉県習志野市の阿武松部屋へ場所前2回目の出稽古を敢行した稀勢の里は、平幕阿武咲との三番稽古(10勝4敗)を終えた後、秋場所に臨む決意を語った。前日の稽古後も「順調にきている。ここ何場所かに比べれば全然違う」。7月末から始まった1カ月に及ぶ夏巡業を皆勤。以前は格下を稽古相手に指名することもあったが、8月下旬の番付発表後は横綱鶴竜や大関豪栄道ら上位陣と胸を合わせてきた。復調の手応えを感じ取っているようだ。

6日、阿武咲(右)を相手に稽古する稀勢の里=共同

6日、阿武咲(右)を相手に稽古する稀勢の里=共同

確かに場所前の稽古を見ても相手の攻めに耐え切る力強さが下半身に宿り、5月の夏場所前のように土俵際で粘り腰もなく敗れる姿はもはや過去のものとなった。生命線の馬力も戻りつつある。最悪期を脱したのは間違いない。ただ、夏巡業も“休養日"を再三設けるなど稽古の番数は物足りない。長期休場を招いた左上腕のけがは癒えず、武器だった左からの強烈なおっつけは見られない。得意の左四つになっても力負けしたり、押し込まれたりする場面も目につく。

東京都江東区の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古では、大関豪栄道に立て続けに腰高を突かれて一気に持っていかれるなど3勝8敗と低迷。元横綱で大相撲解説者の北の富士勝昭さんは「見てはいけないものを見てしまった。何をしようとしているのかわからない」と首をひねり、ある親方は「万が一(引退)に傾いている」とあきらめにも似た表情を浮かべた。1年半近く本場所で15日間皆勤がなく、そのうち半分は全休だ。相撲勘を取り戻すことは並大抵のことではなく、復調といっても薄日が差した程度というのが実情かもしれない。

だが、稀勢の里は前を向いている。「どこがいいか悪いかわかっている。しっかり自分のことがわかるのは、いい状態だと思っている」と強調する。長期休場中は体のどこが悪くて不調なのか暗中模索していたが、今は因果関係を分析できている。残された時間のなかで課題をしらみつぶしに解消していけば、進退問題を乗り越えられる自信があるのだろう。

カギとなるのは右の使い方か。代名詞だった左おっつけはもはや期待できず、左は差すしかないのが現実。だが左四つになるだけでは心もとなく、右上手を取って初めて安定感が出てくる。6日の阿武咲との朝稽古でも右前みつを狙いにいく取り口が見られた。自分の形で序盤から白星を積み重ねられれば、一気に波に乗る可能性も十分ある。横綱審議委員会からは「進退ライン」を設定されていないが、12勝以上を挙げて優勝争いに絡まなければ進退問題はリセットされないのではないか。9~11勝では進退問題が継続される可能性もある。

稀勢の里は命運を懸けた場所が近づいても、悲壮感を漂わせることもなく、終始マイペースを貫いた。周囲の期待に応えられず、批判にさらされながらも大関、横綱へと階段を上ってきた。幾度も逆境をはねのけてきた自負があるのだろう。真の強さが問われる15日間が幕を開ける。

(金子英介)

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