2018年11月19日(月)

シーメンス「デジタル路線」に拍車、日本もカンパニー制に

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2018/9/6 15:45
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独シーメンスの日本法人、シーメンス(東京・品川)は6日、社内カンパニー制を導入すると発表した。独本社が事業本部制から社内カンパニー制へ10月に移行を決め、日本も組織を再編する。環境変化に素早く対応できる複合企業(コングロマリット)へ進化を狙う。産業機器向けのデジタル基盤サービスに注力する方針も示した。

社内カンパニー制への移行やデジタル戦略を説明するシーメンスの藤田研一社長(6日、都内)

社内カンパニー制への移行やデジタル戦略を説明するシーメンスの藤田研一社長(6日、都内)

都内で開いた事業戦略説明会で、シーメンスの藤田研一社長はカンパニー制導入の狙いについて「意思決定のスピードを上げるのに尽きる」と説明した。日本での組織再編はシーメンス本社が8月に発表した中長期経営構想「ビジョン2020+」に基づく措置。前回の経営構想の目標を前倒しで達成し、さらなる競争力向上を盛り込んだ。

シーメンスは過去15年間で全事業の5割を入れ替えた。エネルギー、ヘルスケア、鉄道、産業機器など顧客が異なる幅広い事業領域を抱える。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などデジタル技術の進歩で事業環境の変化が早まり「あまりに巨大で調整に時間がかかる。日常業務を独立して運営する」(藤田社長)。社内カンパニー制で独立性を強める。

シーメンス日本では新たに産業機器や自動化システムの「デジタルインダストリー」、発電や送電を担う「ガス&パワー」、デジタルグリッドや配電などを扱う「スマートインフラストラクチャー(SI)」の3カンパニーに組織を再編。重視するのは「適応力」と「デジタル」だ。

新体制は「オペレーティング・カンパニー(事業会社)」と呼ぶ3つの社内カンパニーと、シーメンスが過半を出資する「戦略会社」と位置付ける3つのカンパニーの計6カンパニーをコア事業として再編成する。

事業会社はガス&パワー(事業規模は210億ユーロ)、SI(同140億ユーロ)、デジタルインダストリー(同140億ユーロ)の3社に再編。SIカンパニーは、これまで複数事業本部にまたがっていたビルシステムや配電などスマートシティ関連事業を集約する。「1つのカンパニーでスマートシティ事業はすべて対応できる」(藤田社長)

ガスタービンなどの大型機器もデジタル対応がカギとなりそうだ

ガスタービンなどの大型機器もデジタル対応がカギとなりそうだ

戦略会社は再生エネルギーを手掛けるスペインのガメサとの合弁会社、シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー、分社した医療機器のシーメンスヘルシニアーズ、鉄道のシーメンス・アルストム(規制当局に承認後に設立予定)となる。シーメンスは過半を出資する株主として戦略会社の成長を後押しする。

本体は財務や人事、法務など本社機能に加え、グループ全体の研究開発機能を担う。グループ内の縦割りが強まると風通しが悪くなり、遠心力が働きやすくなる。各カンパニーは共通戦略としてIoTやAIを活用したデジタル対応の強化を掲げ、横の連携を取りやすくして効率を上げる。

資本市場は複合企業の経営の効率性に厳しい視線を向ける。同じ複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)は経営が悪化し、物言う株主(アクティビスト)の突き上げを受けてヘルスケア部門や産業エンジンの売却など「解体」を迫られている。自動車業界でも自動運転など新分野の領域は分社して独立会社に任せる動きが広がる。

シーメンスは収益基盤のバランスをはかりやすい複合企業の長所を生かし、カンパニー制で経営効率の向上を図る。藤田社長は「経営状態が良いときこそ、会社を変革しやすい」と話す。

(企業報道部 星正道)

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