/

リーグ3連覇目前 広島支えるぶれぬ強化方針

スポーツライター 浜田昭八

広島のセ・リーグ3連覇達成が目前に迫った。近年では巨人が2012、13、14年に3連覇しているが、パ・リーグの3連覇以上は1990~94年の西武5連覇までさかのぼらねばならない。ドラフト制で戦力均衡化が図られている今では、勝ち続けるのは本当に難しい。

今季の広島はそれを"難なく"といえる状態でやってのけようとしている。好スタートを切って4月24日、13勝9敗で首位に立った。以後、一度も首位の座を譲ることなく、ゴールへ飛び込もうとしている。昨季好調だった阪神、DeNAがもたつき、巨人にも勢いがない。終盤になってヤクルトの抵抗に遭ったが大きな障害にはならず、"1強5弱"の独走状態だった。

上位打線固定、攻撃陣が威力

戦力は投打ともに充実していたが、わけても長打あり、足攻ありの攻撃陣が威力を発揮した。3番丸佳浩、4番鈴木誠也を中心に、上位打線が固定された。規定打席不足組の中にも、意外性のある3割打者会沢翼、長打力のあるバティスタがいて、スキのない打線を形成している。

3番丸、4番鈴木を中心に上位打線が固定された=共同

投手陣では大瀬良大地がエースにふさわしい活躍。勝ち星、防御率、勝率の投手3冠を獲得しそうな勢いだ。左腕ジョンソンは来日4年で3度目の2桁勝利をマークした。1、2年で消える外国人が多い中で、ひときわ光る優良外国人選手だ。中継ぎ陣が不安だったが、打線が援護してフランスア、アドゥワ誠が勝ちパターンに加わるようになった。

今やビジターで訪れる敵地の観客席をも真っ赤なカープカラーに染めるほどの人気球団になったが、その球団史は苦難に満ちていた。セ、パ2リーグ分立の50年に発足したが、財政難で戦力がそろわなかった。75年にルーツ監督を引き継いだ古葉竹識監督のもとで初優勝するまでに、実に4半世紀を要した。この間、Aクラスに入ったのは、68年に根本陸夫監督で3位になった1度だけだった。

古葉、阿南準郎、山本浩二、三村敏之が監督だった70年代から90年代にかけては、毎年優勝を争う強豪になっていた。それでも苦難は続いた。川口和久、江藤智ら投打の主力が巨人へ移籍した。球団は自前で選手を育てるという方針をかたくなに守り、フリ-エージェント(FA)制に背を向けた。00年代に入ってもこの方針は曲げず、金本知憲、新井貴浩が去り、黒田博樹、前田健太の大リーグ入りにも寛容だった。新井、黒田はのちに広島へ復帰したが、この時期に監督を務めた野村謙二郎は主力の流出に苦しんだ。

ただ、現場は当座の苦労をしいられるが、球団の一貫した強化方針の恩恵を今になって受けているといえる。ドラフトでは「よく調査している」といえる指名で成果を上げてきた。その年のドラフトの目玉といわれる選手に執着せず、鈴木を2位、丸を3位指名で素早く押さえるなど、実をとる作戦。高卒2年目で戦力になったアドゥワは、5位のヒット指名だった。

ポジションごとに年齢的な空白をつくらない配慮もされている。今年1位入団の中村奨成は昨夏の甲子園大会で6ホーマーを放った強肩強打の捕手。地元広陵高の出身とあって、球団も獲得に珍しく執着した。営業的にもすぐに起用したいところ。だが、2軍でじっくり捕手術をたたきこまれている。正捕手会沢は30歳、控えの磯村嘉孝は25歳。慌ててデビューさせる必要はないのだ。

広島はまた、優良外国人選手を獲得することでも定評がある。今年はけがで振るわないが、一発の魅力いっぱいのエルドレッドは広島で7年プレーしている。後釜には球団がドミニカに創設したカープアカデミー出身のバティスタがパワーのあるところを見せている。来日してからも育成選手として、じっくり日本野球をたたき込まれた。元大リーガーを短期の穴埋めで獲得してお茶を濁す他球団とは、ひと味違う育成だ。

広島は選手とともに、指導者も育ててきた(右端は緒方監督)=共同

選手も指導者も自前で育てる

選手とともに、指導者も育ててきた。緒方孝市監督は広島一筋に現役28年。打守走の3拍子そろった外野手だった。09年に引退後もチームにとどまり、打守走3部門のコーチを務め、監督就任前年の14年には野手総合コーチとして野村監督を支えた。監督1年目の15年は最終戦を落として4位。だが、16、17年は大差で優勝。そして今年である。

ただ、16年は日本シリーズで日本ハムに敗れ、17年はクライマックスシリーズ(CS)でレギュラーシーズン3位のDeNAに敗れた。今年はその二の舞いをしないと引き締めている。「投手を中心に守り勝つ」というオーソドックスな野球。昨年は鈴木の"神ってる"に象徴される、神がかり的な戦いを見せる部分があった。今年はそれが地力として身についている。面白いポストシーズンを展開してくれそうだ。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン