2018年9月24日(月)

民泊王エアビーに挑戦状 スタートアップが攻勢

CBインサイツ
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コラム(テクノロジー)
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2018/9/10 6:30
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CBINSIGHTS

 株式未公開ながら企業価値が10億ドルを超えるいわゆる「ユニコーン」。CBインサイツの調査によると、民泊仲介大手の米エアビーアンドビーの企業価値は293億ドルで、首位の米ウーバーテクノロジーズ(720億ドル)、中国・滴滴出行(560億ドル)などに続く世界4位のユニコーンだ。民泊王の地位を固めるべく業容を広げるエアビー。米欧ではその地位を脅かす新興勢が続々と生まれ、投資マネーも流入している。日本では規制の壁に直面する民泊だが、世界では早くもスタートアップによる競争が激化している。

 エアビーに挑もうとするスタートアップ企業が相次いでいる。投資家もこれを後押ししている。

 家を丸ごと貸し出す「バケーションレンタル」業界のスタートアップ各社に、投資家たちは8月中旬の1週間だけで合計約1億8000万ドルを出資した。カナダのモントリオールに拠点を置くSonder(ソンダー)は8500万ドル、独Homelike(ホームライク)は1400万ドル、米Evolve(エボルブ)は8000万ドルを受け取った。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

 今年に入り、米Turnkey(ターンキー)はシリーズDラウンドで3100万ドル、米Lyric(リリック)はシリーズAラウンドで1550万ドルを調達している。

 バケーションレンタルは今年の「旅行テック」部門で最も活発な分野の一つだ。スタートアップ各社はエアビーに攻勢を仕掛けようと相次いで参入している。

 もっとも、この業界最大手に挑むのは簡単ではない。エアビーのサイトに掲載されている物件は500万件を超え、競合他社やホテルチェーンを圧倒している。

 今回の記事ではCBインサイツのデータを使い、バケーションレンタルに参入しつつある企業について調べ、エアビーと比較する。

エアビーアンドビー、累積調達額44億ドルでバケーションレンタル分野を支配

エアビーアンドビー、累積調達額44億ドルでバケーションレンタル分野を支配

 2017年のエアビーの売上高は26億ドル、利益は9300万ドルに上った。さらに潤沢な資金を得られる新規株式公開(IPO)は果たしていないものの、創業から10年で資金調達額は累計44億ドルに及ぶ。

 エアビーは主に旅行者向けの短期賃貸で知られるが、11年から長期賃貸サービス「サブレット」も手掛けている。

 さらに、不動産開発各社と提携し、エアビーでの貸し出しを想定した専用マンション「Niido (ニード)powered by Airbnb」を開発。所有者は最大で年180日間、スタイリッシュな家具付きマンションをエアビーで貸し出すことができる。

エアビーでの貸し出しを想定した専用マンション「Niido powered by Airbnb」のサイト

エアビーでの貸し出しを想定した専用マンション「Niido powered by Airbnb」のサイト

 同社は20年までにこうしたコンセプトのマンションをさらに14カ所で建設する方針だ。

 バケーションレンタルではエアビーの一強支配が続いているものの、多くのプレーヤーがシェア争いを繰り広げている。

 一部のホテル大手もこの分野に投資し、急成長を取り込もうとしている。

 例えば、米ハイアット・ホテルズは高級物件の賃貸を手がける米スタートアップOasis(オアシス)に出資。仏アコーホテルズもこの分野の買収や投資を積極的に進めている。

 だが、両社は同じ壁にぶつかっている。

 アコーホテルズは18年4~6月期に英Onefinestay(ワンファインステイ)と英John Paul(ジョン・ポール)への投資で2億8800万ドルの損失を計上。ハイアットもオアシスへの出資で2200万ドルの損失を出した。

 ハイアットのマーク・ホプラマジアン最高経営責任者(CEO)は「オアシスは当社の期待を下回った。営業キャッシュフローが常に赤字のため、減損処理をするのが賢明だと判断した」と説明した。

 こうした状況にもかかわらず、ホテル各社がバケーションレンタル市場への投資拡大で利益を得られるのかは不明だ。

 バケーションレンタル市場ではエアビーが君臨しているが、ソンダーとホームライクは短期賃貸以外の市場に狙いを定めている。

 例えば、ホームライクは法人の顧客層から引き合いが強い30泊以上の長期賃貸物件に特化している。ソンダーは地域に溶け込んだデザインの家具付き物件を紹介しているが、エアビーのような仲介サイトではない。

家を丸ごと貸し出す「バケーションレンタル」を手掛けるソンダーのサイト

家を丸ごと貸し出す「バケーションレンタル」を手掛けるソンダーのサイト

 ソンダーはゲストが使う施設を直接貸し出し、運営する。アメニティーの提供や部屋の清掃などホテルのようなサービスも手掛ける。同社の18年の売上高は1億ドルに上る見通し。

 もっとも、エアビーも高級物件や長期賃貸など他の分野に手を広げているため、ソンダーなどの新規参入組は苦戦を強いられる可能性がある。

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