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「ユニコーン」が育たない理由(十字路)

2018/9/6 11:30
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 なぜ日本で「ユニコーン企業」が育たないのか。ユニコーンとは上場前の段階から価値が10億ドル(1100億円)を超える評価を得る新興企業をいう。続々生まれる米国のように日本がなれない理由を探ると、有望な新サービスが出てくると既存企業がこぞって似たやり方で乗り込み、せっかくの芽が育つ前に枯れてしまうとの説明を聞いた。

 誰もやっていないアイデアで、事業の独自性を競うのが米国のフロンティア精神。日本は誰か先駆者の背中を追い、コストを下げて争う。同じ「競争」でも、米国は価値を乗せていこうとするが、日本は価値を削って疲弊する。

 アイデアの不足か、染みついたデフレ心理のせいか。時間をかけて肥料をやれば育つビジネスまで、せいて刈り取りに入りがちだという。

 マネーの動きも裏にあるだろう。ベンチャーキャピタルの投資額は少額で、回収も早め。ややもすると上場自体がゴールになってしまい、上場後に買った投資家がなかなか報われない。そうなると近視眼的な循環を抜けられない。

 同時に、日本は企業の「退出」が少ない。象徴的なのは上場企業1社あたり平均時価総額の日米差だ。世界銀行によれば、米国は2017年末時点で74億ドル(約8100億円)。20年間で5倍強になった。個々の企業の成長はもちろんだが、上場企業の数が20年で半減したのが大きい。

 かたや日本の1社平均時価総額は1900億円と、20年前の2倍に届かない。低収益の企業が放置され、市場に残っている。先細りの事業でも耐え忍ぶ競争で、再編がなかなか起きない。伝統的企業を新興企業がのみ込んだり、投資ファンドが傘下に入れたりする流れもそう多くない。

 もちろん、変化の兆しはある。ただ少なくとも、資本の効率化といった議論の奥で「競争」をどう考えるかに今の日本企業の課題と期待があるように改めて思う。

(中萩)

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