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女性騎手史上最多勝 藤田菜七子の可能性は?

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2018/9/8 6:30
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中央競馬唯一の現役女性騎手、藤田菜七子(21、美浦・根本康広厩舎)が8月25日、新潟競馬12レースをセイウンリリシイで逃げ切り勝ちし、女性騎手史上最多勝記録を更新する通算35勝目をあげた。増沢由貴子(40、旧姓牧原、現調教助手)の持っていた従来の記録を14年ぶりに破った。西原玲奈(36、現調教助手)以来、中央で16年ぶりに出発して約2年半。藤田には期待と不安が入り交じった視線が注がれてきた。「この人が成功しなければ、次はないかもしれない」という切迫感とでも言うべきか。今回の記録は不安を払拭し、「中央でも女性騎手が生きていける」という期待を高めた点で意義深い。藤田自身、「女性初の」という常について回った形容詞を脇に置き、良くも悪くも一騎手として評価される地点に到達した形だ。ただ、現在の騎手界の環境を思うと、今後の藤田には従来と異質な「期待と不安」が待っている。

低い勝率の光と影

従来の記録を持っていた増沢元騎手は、今もトップ騎手として活躍する福永祐一や和田竜二に加えて、田村真来、細江純子という2人の女性騎手(ともに引退)とともに1996年にデビューした。藤田と同じく、当初の2年で20勝に到達。だが、3年目から苦しい時期が続き、99年は騎乗ゼロ。2000年に復帰したが勝てず、98年10月から01年6月まで約2年8カ月も勝ち星から遠ざかっていた。結局、中央での最後の勝利は04年6月で、34勝に実質8年余り、772戦を要した。藤田は1036戦目で34勝目に達しており、勝率は増沢の方が34%高いことになる。

藤田騎手は8月25日、セイウンリリシイで逃げ切り、女性騎手最多勝記録を更新=JRA提供

藤田騎手は8月25日、セイウンリリシイで逃げ切り、女性騎手最多勝記録を更新=JRA提供

両者の年間騎乗数には大差があり、増沢の当初3年が「146→177→144」だったのに対し、藤田は「294→382→395(18年は9月7日現在)」で推移し、今年はまだ3分の1近くを残して騎乗数が前年を上回った。勝率の低さは技術の未熟さと取られても仕方ないが、裏返せば多くの機会を与えられているともいえる。能力不足で、馬群の後ろを回ってくるだけの馬では経験値になりにくいが、一般的には実戦の積み重ねが騎手を育てることは確かだ。

とはいえ、同期デビューの男性騎手5人と比べ、通算騎乗回数1071は少ない。5人中最少の森裕太朗(21、栗東・フリー)は1080回だが、初年度が216回と極端に少なく、昨年は539回を確保した。初年度に45勝で最多勝利新人騎手賞を獲得した木幡巧也(22、美浦・牧光二厩舎)は既に1652回。昨年に47勝と一気に成長した荻野極(20、栗東・フリー)も1588回を数える。こうした騎乗機会の差は、減量特典(デビュー5年以内で通算100勝以下の騎手は一般競走で規定より軽い負担重量で騎乗する)と関係する。藤田は昨年後半から今年にかけて勝利数のペースが上がった一方、現在も2キロ減(31~50勝)で、騎乗数は同期の男性騎手に追いつく傾向だ。

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