2018年11月21日(水)

MHIヴェスタスが世界最大出力の風車、英国で90基受注

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ヨーロッパ
2018/9/6 7:00
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再生エネルギーの成長株である洋上風力発電を巡る争いの風速が強まっている。三菱重工業とヴェスタス(デンマーク)が折半出資する洋上風力発電設備会社、MHIヴェスタスが同社にとって過去最大規模の大型案件を英国で受注した。洋上風力発電の競争が世界で最も厳しいと言われる英国で実績を積み上げ、世界首位の独シーメンスを追い上げる。

MHIヴェスタスは洋上風力の超大型で受注上積みを狙う(写真は英国で手掛けた洋上風力発電設備)

受注したのは英国東岸の北海洋上で進む洋上風力発電プロジェクト「トライトン・ノール」向けの発電設備。世界最大出力9500キロワット級を誇る「V164―9.5MWタービン」90基を納める。トライトン・ノールは、86万キロワット級の洋上風力発電プロジェクトで、発電された電力は英国家庭80万世帯以上の年間消費電力量を賄える。

5年間のサービス保守契約も結んだ。受注金額などは明らかにしていないが、14年の設立以来、最大規模の受注となる。

9500キロワット級の洋上風力発電設備はオランダで20年に納入予定の「ボルセラ3/4」プロジェクト向けに77基を受注している。超大型洋上風力発電設備の受注は今回で2件目となる。

日本の再生エネルギーにとってはもう一つ意義がある。プロジェクトを担うのは、独再生エネルギーのイノジー社傘下の「トライトン・ノール洋上風力発電事業会社」だが、同社にはJパワーが25%、関西電力が16%をそれぞれ出資。日本の電力会社が海外の洋上風力発電に初めて携わる。

MHIヴェスタスは14年に三菱重工とヴェスタスが折半出資で設立した。三菱重工は出資比率を51%に引き上げる権利を持っていたが、16年4月に権利行使を見送った。事業拡大には対等の協力関係の維持が最適と判断したためだ。

順調に受注を上積みするものの、MHIヴェスタスには洋上風力の巨人、独シーメンスとスペイン大手ガメサの合弁会社「シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー」が立ちはだかる。

ウインドヨーロッパ(欧州風力エネルギー協会)によると、17年末の洋上風力の発電容量の累積シェアはシーメンス・ガメサが6割超で首位に対し、MHIヴェスタスは2割弱の2位。超大型機を巡ってもシーメンス・ガメサが力を注ぐ。

洋上風力は相次ぐ大規模プロジェクトによるスケールメリットで発電コストが低下し、欧州を中心に市場は急拡大している。世界風力エネルギー協会によると、17年の洋上風力発電容量は、1万8814メガワットと11年に比べ4.6倍に拡大した。

欧州では設備容量ベースで風力発電が150ギガワットを超え、電源構成では石炭火力に次いで2位の位置まで存在感を高めている。そのなかでも洋上風力が大型の主力電源に育ちつつある。短期間での大量導入と低コスト化を両立した洋上風力は今後、世界の再生エネルギーの主軸になるとみられるため、風力発電大国の欧州での市場競争は将来の成長性に直結する。

欧州に続き、台湾や米国で洋上風力発電のプロジェクトが広がっている。日本でも政府は30年に800メガワット超の洋上風力発電の導入を目指している。日本風力発電協会は「物理的なポテンシャルはその100倍以上ある」とみている。MHIヴェスタスは世界最大の洋上風力発電地域であり、世界の競合がしのぎを削る英国で実績を積み上げ、さらなる顧客開拓につなげる。(星正道)

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