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処方箋は「2030年的中国」(大機小機)

2018/9/5 17:51
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 経済学者は米トランプ政権の保護主義に手厳しい。国内の貯蓄不足をそのままに貿易赤字削減を求めるのは無理筋で、高関税の害は自国に跳ね返る、と。

 その通りだが、中国との貿易戦争に限れば、米国は経済学より安全保障を優先している。中国にハイテク覇権を許せば軍事覇権も奪われかねないと、中国の産業政策「中国製造2025」を目の敵にする。

 中国は高速鉄道など公共投資を追加し、金融も緩める構えだが、企業や地方政府の債務は高水準だ。アクセルを踏み込み過ぎれば、バブルで失敗した日本の二の舞いになりかねない。

 習近平(シー・ジンピン)政権も頭の痛いことだろうが、格好の処方箋が眠っている。「2030年的中国」(China2030)リポートだ。

 中国の国務院発展研究センターと世界銀行が、共同研究の成果として、12年2月に公表した。中国が「中所得国のワナ」を回避し、高所得社会を築くための戦略提言と、能書きにある。そのメッセージを一言に要約すると「市場経済への移行をやり遂げよ」だ。

 「国有企業」をやり玉に挙げ、民間企業より収益性も生産性も劣るのに、官とのコネで銀行融資や商機へのアクセスなどで優遇され競争を妨げている、とリストラを迫る。国有銀行が牛耳る金融セクターも、国の介入を減らして金利自由化を目指せと説いている。

 政府の役割は「無駄なく、クリーンで透明性が高く、高効率で、法の支配の下に運営せよ」と注文する。

 習政権は国際機関の視点も入った同リポートをたなざらしにしてきた。そして今、国有企業改革は滞り、国有企業同士が合併し大型化する事例が目につく。

 15年に打ち出した「中国製造2025」は、次世代情報技術やロボットなど10の重点産業を指定、基幹部品などの国産化比率目標まで掲げて計画経済そのものだ。国家の野心が見え見えで、米国を身構えさせた。

 自由な市場での競争に委ねる「2030年的中国」路線だったら、貿易戦争にはならなかっただろう。

 ただ、6年前の提言に戻るには覚悟がいる。「中国の特色ある」社会主義市場経済の「特色」を除き、普通の市場経済になれというのだから。中国の特色を突き詰めれば「共産党一党独裁」に行き着く。

(手毬)

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