一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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大関とりの御嶽海、自覚胸にもっと稽古を

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2018/9/7 6:30
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ただ、この際だから、気になっている点も指摘しておきたい。それは稽古に対する姿勢のことだ。いろいろと伝わってくる話では、御嶽海が日ごろ稽古をやっているとは聞かない。もちろん、稽古をしない力士に強い力士はいないと思う。学生時代に猛稽古したり、周りに見えないところでやったりしているのかもしれない。ただ、8月末の横綱審議委員会の稽古総見で御嶽海は横綱や大関に全く勝てず1勝13敗に終わり、八角理事長(元横綱北勝海)や横綱鶴竜から覇気が伝わってこないと苦言を呈されたそうだ。

8月31日の稽古総見で汗を流す御嶽海(右)と鶴竜=共同

8月31日の稽古総見で汗を流す御嶽海(右)と鶴竜=共同

自分が現役のころ、学生相撲出身のある関取に言われたことがある。「なんで稽古場でめいっぱい力を出すのか。相手に手の内を見せるだけじゃないか」と。言わんとすることは、稽古は適度にやって自分の相撲の確認をすればいい、ということのようだった。ただ、15歳で角界に入った自分からすれば、どんなことがあっても勝負に執着してしまう。必死に稽古を重ねてもっともっと力をつけて、とことんまで強くなりたいという一心だった。学生横綱などのタイトルを取って角界入りした御嶽海がどう考えているかは知らないが、学生相撲は短期間で結果を残さなくてはいけないから、大けがをしたら学生生活を棒に振るし、稽古のとらえ方の違いがあるのかもしれない。

下の者のお手本にならないと

考え方は人それぞれ。ただ、御嶽海は先日の番付発表記者会見で、「稽古せずに上に上がりたい」という趣旨の発言をしたと聞いた。俺は稽古しなくても強いんだという思いがあるのだろうが、そんなことを自慢げに語るのはいかがなものか。センスがない力士は、稽古でこれでもかと苦しい思いをして必死に体を大きくし、やっとのことではい上がる。ほとんどの力士は稽古で力をつけて強くなっていくのが現実だ。厳しい稽古を重ねて体を鍛え上げるからこそ、けがをしづらい体にもなり、長いこと相撲を取ることもできる。御嶽海の軽はずみな発言で「相撲ってそんなもんか」と思われたり、勘違いしてしまう力士が増えたりしては困る。稽古して損をすることは何一つない。稽古を否定するような発言をしてはいけない。

よく言われるように、上にいけばいくほど自覚を持って、下の者のお手本にならないといけない。優勝力士として、大関を狙う力士として、自覚を胸に稽古に励んでほしい。

(元大関魁皇)

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