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デシャンボー、米男子ゴルフの若手注目株

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

ブライソン・デシャンボー(米国)という選手は、実にユニークだ。

アイアンのシャフトを一般的な6番アイアンの長さに相当する37.5インチ(約95センチ)に統一し、腕からクラブのヘッドまでが一直線という「シングルプレーンスイング」も特徴的。また、サインを書くときは右利きだが左手で。しかも、通常とは逆の右から左へとペンを走らせる。

ユニークな言動、記者もあぜん

今季序盤、大会を棄権したときの理由も風変わりだった。

「腰方形筋(ようほうけいきん)がうまく機能していない。腸骨筋(ちょうこつきん)と胸最長筋(きょうさいちょうきん)を使いすぎている。さらに詳しくいえば……」

そこで目の前にいるゴルフ記者の目が点になっているのに気づいた彼は、こう言い直した。

「腰が少し張っているので、休むことにした」

大学で物理学を学んだ彼は、時に難しい言葉を並べて我々をあぜんとさせるが、もはや"キワモノ"ではない。

デシャンボーはデルテクノロジーズ選手権も制し、2週連続優勝を飾った=AP

米男子ゴルフのプレーオフ初戦、ノーザントラスト(米ニュージャージー州パラマス)を制すと、今季のポイント争いでトップに立った。

そして続くプレーオフの第2戦、デルテクノロジーズ選手権(マサチューセッツ州ノートン)でも、最終日を1打差の2位タイからスタートすると、前半だけで5つもバーディーを奪って抜け出した。これまで米男子ツアーで2勝しか挙げていなかった24歳が、鮮やかに2週連続優勝を飾ったのである。

プレーオフはあと2戦残っているが、これで年間王者のタイトルを獲得し、1000万ドル(約11億円)という賞金を手にする可能性がぐっと高まった。

唐突に現れた感もあるが、もともと将来を嘱望されていた。

2015年には「全米アマチュア選手権」と「全米大学体育協会(NCAA)ゴルフ選手権」の両タイトルを制し、ジャック・ニクラウス、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ、ライアン・ムーア(いずれも米国)に続く史上5人目の快挙を達成。翌16年のマスターズ選手権が終わると鳴り物入りでプロ転向を果たした。

初優勝は17年。ジョンディア・クラシック(イリノイ州シルビス)で米男子ツアー初勝利を挙げると世界ランキングを81位まで上げた。今年に入ってからは一人だけ異なるエンジンを積み、コースを疾走しているかのようだ。

世界ランキングも7位に上昇

ウッズ、ミケルソンの復活で沸いた米ツアーだが、その間にデシャンボーは実績を積み上げ、気づけばデルテクノロジーズ選手権の勝利で、世界ランキングも7位にまで上げている。

その勢いはこんな別のデータにも表れている。

ノーザントラストはキャリア3勝目だったが、これはプロ入りして69戦目でのこと。そのペースはリッキー・ファウラーの145戦目、ジャスティン・トーマス(ともに米国)の70戦目と比べても早い。ジョーダン・スピースの60戦目、パトリック・リード(同)の54戦目にはかなわなかったが、その彼らも次の試合で勝って抜き去っている。

ゴルフチャンネルで記録の調査などを担当するジャスティン・レイ氏によると、70戦目で4勝というペースは、ロリー・マキロイ(英国)が50戦目で達成して以来のスピードだそうだ。

これまで彼の風変わりな一面ばかりが注目されたが、もはやそういう捉え方は消えつつある。

4日、主将推薦でライダーカップ米代表の一員に選ばれた=AP

それに伴って、彼をめぐる状況も激変した。

たとえば17年夏、彼が18年のライダーカップ(2年に1度開催される米国と欧州との団体対抗戦)のメンバーに選ばれるとは誰も予想しなかった。だが、9月4日に発表された主将推薦で、デシャンボーはライダーカップ初出場を決めた。そして、そのことに異を唱える人もいなかった。理由は簡単である。

彼は、その場にふさわしいのである。

さていったい、この若者はこれからどこまで伸びるのか。

実に興味深いが、デルテクノロジーズ選手権に勝った後、「これ以上ゴルフがうまくなる余地があるか」と聞かれてこう言った。

「確実に上のレベルはあると思う。あとはバイオメカニクス(生体力学)の限界次第。僕の言っていることをわかってくれるだろうか……」

彼のゴルフを理解するには、我々もバイオメカニクスの原理を勉強する必要がありそうだ。

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