2018年11月21日(水)

グーグル、中国市場復帰への壁(The Economist)

ネット・IT
中国・台湾
The Economist
(2/2ページ)
2018/9/7 5:50
保存
共有
印刷
その他

山西省出身で、今は上海のインターネットカフェで働いているリー・ジアペンさん(25歳)は、以前はgoogle.cnしか使わなかったという。彼が頻繁に訪れたコンピューターのサイトでは、google.cnが一般的な検索エンジンだったからだ。だが、グーグルが戻ってくるかもしれないと言われても、肩をすくめるだけだ。「もう百度に慣れちゃったよ。なんで変えなきゃいけないの?」

VPN(仮想私設網)を使用して検閲を回避している中国人ユーザーの多くは、リーさんが働くカフェを訪れるある客が言うように、中国政府に検閲されているグーグルなんて「意味がない」と見なしている。

ただし百度も難攻不落なわけではない。調査会社アレート・リサーチのリチャード・クレーマー氏は、百度に立ちはだかる最大のリスクは広告連動型検索がグーグルに比べてあまりうまくいっていないことだと指摘する。百度の利用者は、検索結果を見るために広告を何ページもスクロールしなければならないと不満を口にする。物の分かった裕福な利用者をグーグルが少し取り込むだけで、百度の収益に大きな打撃となる。

■受け入れがたい中国当局の要求

中国は8億人に上るインターネット利用者を国内に抱えている。これは世界で最多。google.cnが初めてサービスを開始した06年当時の7倍に膨らんだ。したがってグーグルが食指を動かしたくなるのも無理はない。

ピチャイ氏は15年にCEOに就任して以降、中国での活動を拡大してきた。AI(人工知能)に特化した研究センターを北京に開設。オンライン小売企業の京東集団(JDドットコム)に5億5000万ドル(約610億円)を投資。さらに、中国国内に何百人ものスタッフを配置して、他の国で視聴されるオンライン広告を販売している。検索サービスを再開すれば、グーグルの存在感は一層高まるだろう。

だがそれも、中国政府がグーグルの再参入を許可すればの話だ。中国政府は、海外企業が中国のインターネット利用者について深く知ることを好まないかもしれない。特に彼らが保有するデータに自分たちがアクセスできないとなれば、なおさらだ。

当局は今年初め米アップルに対して、iCloudを利用する中国人ユーザーが保有するデータを現地のデータセンターに移転するよう命じた。こうすることで中国当局は、中国人ユーザーのiCloudデータにアクセスすることが容易になる。

このような要求は、グーグルの経営幹部にとって受け入れがたいものだろう。もし、受け入れるようなことがあれば、従業員の反対がピチャイ氏の進路を阻む最大の障害となるかもしれない。

(c)2018 The Economist Newspaper Limited.

Aug. 25-31, 2018. All rights reserved.

この英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報