2018年11月19日(月)

グーグル、中国市場復帰への壁(The Economist)

ネット・IT
中国・台湾
The Economist
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2018/9/7 5:50
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The Economist

米検索大手グーグルは2010年、中国で提供する検索サービスの結果に対し自主検閲を行わないと発表した。この検閲は、中国で同サービスを提供するための前提条件となっており、これを拒否することは中国からの撤退を意味した。中国のインターネット利用者らはグーグルの中国撤退を悼み、社の北京本社前に花束をささげた。

中国以外の人々もグーグルの判断をたたえた。中国の人権活動家が持つGmailアカウントがスパイされている疑いがあるとグーグルが明かしたからだ。同社は、そのような行為は自由に対する攻撃であり、行きすぎだと考えた。

2010年3月、グーグルの中国市場撤退の発表を受け、中国の利用者は同社の北京本社の前に花束をたむけた=ロイター

2010年3月、グーグルの中国市場撤退の発表を受け、中国の利用者は同社の北京本社の前に花束をたむけた=ロイター

こうした経緯から、グーグルが中国検索市場に復帰する計画を秘密裏に進めているとの報道は、同社の従業員を含め、多くの人々を激怒させた。このニュースを今年8月、最初に報じたのは、米ニュースサイトのインターセプトだった。米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、この計画を知るや1000人以上の従業員が、透明性の向上と、倫理的な側面からの新サービス見直しを求める書簡に署名した。

グーグルが中国市場に再参入するのを妨げる障害は、従業員の怒りだけではない。

■決められない再参入の時期

グーグルは、社内でコードネーム「Dragonfly(とんぼ)」と呼ばれるモバイル検索アプリを中国で提供するという。中国当局が運営する「グレートファイアウオール(ネットの長城)」がブロックするウェブサイトにフィルターをかけるものだ。

中国当局はグレートファイアウオールを駆使して、不都合なサイトが検索結果に表れないよう削除している。例えば、台湾の独立や天安門事件などのトピックだ。このブラックリストの内容は中国国内で活動するインターネット企業にも公開されていない。また頻繁に更新される。ツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディアのサイトや、ニュースサイトもブロックされている(本誌=英エコノミスト誌=もこれに含まれる)。

グーグルが導入を検討しているというアプリは、これらのサイトが検索結果に含まれる時には、結果の一部が削除されたかもしれないと通知する。

報道によれば、グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、先に開かれた社内会議の場で、中国市場への再参入は「まだ先のこと」と述べたという。インターセプトに情報を提供した関係者によると、再参入するタイミングは中国当局がいつ承認を与えるかに加えて、中国・検索最大手の百度(バイドゥ)と競合していけるかどうかをめぐるグーグル自身の判断にかかっている。

そのどちらも確実ではない。アイルランドの市場調査会社、スタットカウンターによれば、中国で行われる4件の検索のうち3件は、百度の検索エンジンを使用するという。中国の検索エンジン第2位の「シェンマ」を利用して行われる検索は6件のうち1件。これは、「google.cn」が中国市場から撤退した時に握っていたシェアとほぼ同じ規模だ。

■「百度に慣れちゃった」若者たち

01年にサービスを開始した百度はグーグルが撤退した後、百度百科 (バイドゥ版ウィキペディア)、百度貼●(くちへんに巴)(ソーシャルメディア、バイドゥ・ティエバ)、百度地図(バイドゥマップ)など一連のアプリを通じて一層多くのユーザーを引き寄せた。巨額の投資を行って、同社のアプリのほとんどが中国で使用されるスマートフォンに確実にプリインストールされるようにもした。

百度の創業者でCEOを務める李彦宏氏は、グーグルが中国市場に再参入するかもしれないとの報道に対し、ソーシャルメディアを通じて自信満々に次のように答えた。「(我々は)闘い、そして再び勝利する」

百度は10年にわたって中国の検索市場を支配してきた。この結果、同社の検索エンジンを使ってウェブサーフィンをするのが中国の若者たちにとって当たり前の習慣になっている。

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