2019年3月19日(火)

関空、滑走路や駐機場浸水 再開見通し立たず

2018/9/4 21:15
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対岸と結ぶ唯一の橋は壊れ、滑走路は海水に覆われた。台風21号が近畿地方を通過した4日、人工島にある関西国際空港で発生した大きな被害。関空島では利用客ら約3千人が孤立状態になり、海に沈んだような光景に不安を募らせた。空港復旧の見通しは立たず、航空便への影響は長期に及ぶ恐れがある。各地では死傷者も相次ぎ、台風21号は列島に深い爪痕を残した。

台風21号の影響で浸水した関西国際空港(4日)=共同

台風21号の影響で浸水した関西国際空港(4日)=共同

「風に流され、連絡橋に衝突した」。タンカーの宝運丸(長さ89メートル、2591トン)から第5管区海上保安本部に連絡が入ったのは4日午後1時45分ごろ。同船は関空の第1ターミナルがある1期島の東側海上に停泊中、強風で連絡橋まで流されたという。

連絡橋は上部を車、下部を鉄道が走る2層構造。衝突当時、強風のため車は通行止めで鉄道も運休しており、橋の上を通行している車や列車はなかった。船員11人も無事だったが、タンカーはエンジンが停止して自力で動けず、海上保安本部がヘリコプターなどで救助にあたった。

宝運丸を所有する日之出海運(福岡市博多区)などによると、同船は航空機用の燃料を輸送するタンカー。3日に関空関連施設に荷揚げし、台風の接近のため4日は停泊していた。同社担当者は「流された理由は不明。事故が起きた原因について、引き続き情報収集に努める」と話した。

一方、関空では台風による高潮で滑走路の護岸を乗り越えたとみられる海水が滑走路に流入し、一面が冠水した。

「まるで洪水が起きた川のようだった」。関西エアポート広報担当、高西健司さんによると、冠水したA滑走路の水深は約40~50センチ。同日午後2時半ごろから暴風雨が激しくなり、第1ターミナル横の本社ビル6階にある職場からは、航空機のタイヤが水没したり、茶色い濁流が滑走路を覆ったりする様子が見えたという。

国土交通省によると4日午後3時に関空を閉鎖。連絡橋が使えないため、一部の利用客は島内のホテルに避難した。ホテル日航関西空港では宴会場を開放し、午後6時時点で数十人が身を寄せた。多くが外国人で「不安げな様子だった」(担当者)という。陸路による輸送が検討されているが、孤立状態は同日午後8時時点で解消されていない。

関空の復旧時期も見通せない。連絡橋の道路を管理する西日本高速道路(NEXCO西日本)によると、タンカーとの衝突で橋桁と橋梁部分が大きく破損。担当者は「復旧にはかなりの時間がかかる」と話した。関西エアポートはポンプを使い、海水の排出を急いでいる。

大阪管区気象台によると、大阪湾のこの時間帯の潮位は通常約70センチだが、4日の予測値は最高3メートル。関空では同日午前6時半ごろから高潮警報が発令されていた。同空港では事故当時の午後1時半すぎに最大瞬間風速58.1メートルを記録し、2009年の観測開始以降、最大値を更新した。

 ▼関西国際空港 大阪府泉佐野市など泉州地域沖約5キロの海上を埋め立てた人工島に建設され、1994年9月4日に開港した24時間空港。当初は1期島の滑走路1本だけだったが、隣に2期島を造成し、2本目の滑走路を2007年にオープンした。対岸の同市・りんくうタウンと全長3.75キロの連絡橋で結ばれており、橋の上段を道路として、下段を鉄道として使用し、JRや南海電鉄が乗り入れている。神戸空港との間には高速船も運航している。近年は格安航空会社(LCC)の就航が相次ぎ、外国人観光客の利用が急増している。

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