2018年11月14日(水)

英中銀総裁、退任延期に前向き 「円滑なEU離脱支える」

Brexit
金融機関
ヨーロッパ
2018/9/4 16:16
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【ロンドン=篠崎健太】英中央銀行イングランド銀行のカーニー総裁は4日の英下院財務委員会で、2019年6月末に予定する退任の先送りを前向きに検討する考えを示唆した。19年3月に控える英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり「円滑な離脱を支えるためにできることは何でもするつもりだ」と表明した。退任の延期についてハモンド財務相と協議していることも明らかにした。

カーニー氏は19年6月末で退任を予定する(8月の利上げ決定後の記者会見)=ロイター

インフレ報告のため出席した委員会の冒頭、退任延期の意向に関する委員長の質問に答えた。

カーニー氏をめぐり複数の英メディアで、財務省が残留を非公式に打診したと報じられていた。EU離脱からほどなく退任した場合、金融政策や金融監督の継続性に悪影響が懸念されるためだ。同氏はEU離脱について「重要な局面だと認識している」と述べた。経済や市場の万が一の事態に備えるため、金融政策のかじ取りを当面続ける可能性が強まった。

カナダ出身のカーニー氏は13年7月に就任した。英政府はカナダ銀行(中銀)の総裁をしていた同氏を任期途中で引き抜き、1694年の創設以来初の外国籍を持つトップとして注目を浴びた。

総裁の任期は最大8年間だが、子どもの学業など家庭の事情から当初は18年6月末まで5年間を条件に引き受けていた。16年の英国民投票でEU離脱が決まると「円滑な移行に貢献したい」として政府の要請もあり退任の1年延期を承諾した。

現状ではEU離脱のわずか3カ月後に、金融政策を運営する中銀のトップが代わることになる。EUとの交渉難航で「合意なき離脱」への懸念が広がるなか、複数の英メディアが財務省が退任延期を水面下で打診したと報道。英紙フィナンシャル・タイムズはカーニー氏に近い人物の話として「延期に前向き」だと今週初めに伝えていた。

英中銀はEU離脱決定後の16年8月、景気への悪影響を防ぐ緊急措置として利下げと国債の買い入れ枠拡大を行った。17年11月に利上げに転じ、大規模な金融緩和策の正常化へ歩み始める一方、カーニー氏はEU離脱による混乱に懸念を表明してきた。7月の下院公聴会では、EU単一市場から無秩序に放り出されれば「英経済に重大な結果をもたらす」と語った。

退任の延期を英政府が探る背景には、後任の人選難航が見込まれている事情もありそうだ。今秋から公式に人選に着手する予定だが「財務省はEU離脱交渉のさなかに次の総裁を探すのが難しいと懸念している」(英BBC)。カーニー氏が当面続投ならEU離脱前後で金融政策や金融監督の継続性を保てるため、無難な選択肢に映る。

市場関係者やメディアの間では次期総裁の有力候補の一人として、イングランド銀出身で金融行為監督機構(FCA)トップを務めるアンドリュー・ベイリー長官の名前が取り沙汰されている。ただ現時点では決め手に欠き、後任候補の顔ぶれは定まっていない。

カーニー氏続投が正式に決まれば、通貨ポンド安が続く金融市場に一定の安心感を与えそうだ。米銀バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのチーフ通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏は「カーニー氏は16年の国民投票後の対応で信頼感を示した。退任延期なら投資家の心配事が一つ少なくなる」と語る。

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