2018年9月20日(木)

バイオスタートアップ2社が関節症の治療で提携

スタートアップ
ヘルスケア
2018/9/4 14:46
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 バイオスタートアップのテオリアサイエンス(東京・千代田)とセルソース(東京・港)は4日、体内の微小物質「エクソソーム」の研究で事業提携すると発表した。エクソソームは体内で炎症を抑える効果などが期待されており、まず整形外科領域の疾患である「変形性関節症」の治療への応用を目指す。

テオリアサイエンスの水谷隆之社長(左)とセルソースの裙本理人社長

 変形性関節症では膝などの関節で炎症が起きて痛みを感じ、日常動作が不自由になるなどの症状が出る。炎症を抑えれば痛みを軽くできる。

 エクソソームは体内の様々な細胞が放出する直径50~150ナノ(ナノは10億分の1)メートルの微小な小胞で、主に細胞の間での情報伝達に関係していることが分かっている。近年の研究ではがん細胞が他の臓器・組織に転移する際に放出することも判明した。どのエクソソームが、どんな性質を持っているかなどの研究が世界中で進んでいる。

 テオリアサイエンスは国内のエクソソーム研究の第一人者である東京医科大学の落谷孝広教授らが2012年に創業したバイオスタートアップで、エクソソームの抽出や精製に関する技術を開発している。今回は細胞加工が得意なセルソースと提携し、脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)からエクソソームを抽出し、臨床応用につなげる。

 MSCは免疫不全の治療や炎症、痛みの軽減などの効果があり、すでに一部で医療用の細胞医薬品として実用化されている。エクソソームはMSCの炎症抑制能力や組織の再生能力に重要な役割を果たすため、まず患者本人から抽出したエクソソームを使って変形性関節症の治療への応用を目指す。将来的には心筋梗塞や肝硬変、脊椎損傷などの治療も狙う。

 エクソソームを使う治療や診断の研究は世界で広がるとみられており、今後5年で市場規模は200億円を超えるといわれる。落谷教授は「再生医療分野では細胞そのものをつかう細胞療法から、エクソソームを使う手法へ変化していく可能性がある」と話した。

 セルソースは住友商事出身の裙本理人社長が15年11月に設立し、17年10月期の売上高は5億2千万円だった。裙本社長は「国内のクリニック向けに治療用MSCを提供している実績がある。今後はエクソソームを患者の治療に役立てていきたい」と語った。

(高田倫志)

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