観光地、客足回復へ模索 夏休みの需要減 長期化も懸念

2018/9/3 19:50
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西日本豪雨の発生からおよそ2カ月たったが、中国地方の主要観光地では観光客数の回復が鈍いところも多い。かき入れ時の夏休み期間の観光需要減は大きな痛手で、風評被害による影響の長期化も懸念される。各地はJRなど公共交通の復旧や政府の観光支援策「ふっこう周遊割」を追い風に、客足回復の道筋を模索する。

世界遺産・厳島神社の大鳥居(広島県廿日市市の宮島)

日銀広島支店は3日、西日本豪雨による広島県経済への影響などをまとめた特別調査リポートを公表した。浜田秀夫支店長は観光への影響について「道路や鉄道の復旧に伴い徐々に回復している」とした上で「風評被害もあり本格的な回復には時間がかかるのとの声も聞かれ、影響の長期化が懸念される」と話した。

■「大和」来館8割減

広島―呉間を結ぶJR線や有料道路(クレアライン)の休止で、広島県呉市の観光施設「大和ミュージアム」は7月の来館者数は前年比8割近く減少。8月も団体旅行客のキャンセルなどで約6割減となった。「通常であれば家族連れの方々も多く訪れる時期なだけに厳しい」(大和ミュージアム広報担当者)

9日には坂―呉間のJR運行が再開されるほか、クレアラインは11月ごろの全面復旧を目指している。「観光客は高速バスを利用する方が多く、観光客が戻るにはまだ時間がかかるかもしれない」(同担当者)

7月~8月末にかけて花火大会などイベントの中止・延期が相次いだことも響いた。宮島の8月の来島者数(速報値)は36万7198人と、前年の確定値より14万6684人減少した。8月25日に予定していた「宮島水中花火大会」が中止になったことが主な要因。7月の確定値も前年を下回った。

国内旅行者は自粛モードが続く一方、外国人観光客は堅調だ。広島平和記念資料館によると、8月の来館者数は前年比21%減少した。ただそのうち外国人の来館者数は3621人増えた。7月8日には山陽新幹線が全線再開し、近畿や九州など広域で周遊する外国人の影響は限定的だったとみられる。

岡山県では8月1~15日までの後楽園(岡山市)、倉敷市美観地区の大原美術館など県内9カ所の主要観光施設の来訪客数は前年同期比16%減った。ただ、7月の減少幅からは改善しており「回復の兆しはある」(県観光課)としている。

■ふっこう割効果期待

被災地の観光回復を加速させるための今後の対策として、日銀広島支店の浜田支店長は「11府県ふっこう周遊割の効果に期待したい」とした。2016年4月の熊本地震の際の観光支援策「九州ふっこう割」を例に挙げ、「地震後の熊本県内の宿泊者数の減少幅縮小の効果があった」と指摘した。

一方、「利用条件や手続きが煩雑になれば、効果は期待できない可能性がある」(広島県内のホテル事業者)との指摘もあった。九州ふっこう割では1県、1泊からの割引や日帰り旅行も割引対象となった。その点では11府県ふっこう周遊割は2県以上にまたがり、連続2泊以上の宿泊から割引対象となっており、ややハードルが高い。

浜田支店長は観光支援策の効果を発揮するためには「利用条件というのもあるが、ふっこう割の枠組みを使った旅行商品など、いかに観光客を呼び戻すか知恵を絞らなければならない。情報発信や(手続き申請する)窓口対応の拡充も重要だ」と指摘した。

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