米の軍事援助資金停止、パキスタン新政権が反発

2018/9/3 19:20
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【ニューデリー=黒沼勇史】パキスタンで8月に発足したばかりのカーン政権が米国の圧力に反発している。米国が軍事援助の一部停止を決めると、政権は「(パキスタンは)十分にテロと戦ってきた」と反論。ポンペオ米国務長官らのイスラマバード訪問は5日の予定だが、カーン政権の対米外交は波乱の船出。パキスタンは中国の協力でインフラ整備を進めており、対中傾斜を一段と強める可能性もある。

「パキスタン軍と(同国の)人々は十分に犠牲を払ってきた」。同国のクレシ外相は2日、イスラマバードで記者会見を開き、米国による3億ドル(約330億円)の連合支援基金(CSF)打ち切りに反発した。

パキスタンのテロ対策に米国が不満を示すのは初めてではない。トランプ米大統領は新アフガニスタン戦略を公表した2017年8月、「パキスタンにあるテロリストの安全地帯は看過できない」と非難した。ロイター通信によると、米国は年初にも5億ドルのCSFの支払いを取りやめた。

トランプ氏が指摘する「安全地帯」とは主にパキスタンのアフガン国境付近だ。アフガンの反政府武装勢力タリバンの過激派グループ「ハッカニ・ネットワーク」などが潜伏し、アフガン側に越境し、テロを繰り返す。

パキスタン政府は14年、大規模なテロ掃討作戦を開始。だが、パキスタン軍や3軍統合情報部(ISI)はハッカニを掃討対象から除き、アフガンへの越境攻撃も黙認してきたといわれている。

総選挙ではカーン氏の政党をパキスタン軍が支援したとみられている。パキスタン軍には、ハッカニのような武装勢力の活動を見逃すことで、南アジア地域の情勢を不安定なままにして、政権をしのぐともいわれる政治力を国内で保つ意図があるとの観測もある。

パキスタンは中国と蜜月。総工費620億ドルのインフラ事業で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一部である中パ経済回廊(CPEC)はパキスタン経済の将来を左右するともいわれる。

ポンペオ氏はカーン氏との会談で、ハッカニを含むテロ掃討へ圧力をかける見通しだ。カーン氏は首相就任以前、米軍によるパキスタンでのドローン(小型無人機)攻撃を非難してきた。ポンペオ氏もカーン政権発足前からパキスタンには厳しい姿勢を示してきた。7月にはテレビのインタビューで、国際通貨基金(IMF)のパキスタン財政支援に難色を示した。

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