2018年9月26日(水)

黒田日銀総裁「先物市場の発展、中銀も後押し」
先物30周年シンポ 日経・日本取引所主催

金融機関
2018/9/3 19:03
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 日本経済新聞社と日本取引所グループは3日、「株価指数先物30周年記念シンポジウム」を日経ホール(東京・千代田)で開いた。日銀の黒田東彦総裁は基調講演で、2008年の金融危機以降の環境変化が「先物市場に新たな変容を迫っている」と指摘。テクノロジーの進化で先物取引が高速化しており、「取引所の自主規制や管理・モニタリング(監視)が重要になっている」と語った。

 黒田総裁は「日本の先物市場が、さらに効率的かつ安定的な市場として発展を遂げるよう中央銀行の立場から後押ししていきたい」と強調。先物市場の調査研究や国内外の議論に積極的に参加していくと表明した。

 「資産運用に先物取引を活用する動きが広がっている」とも述べ、投資信託や上場投資信託(ETF)を通じて先物市場の参加者が多様化していると指摘した。そのうえで「家計のポートフォリオ(資産配分)の選択を増やす点で前向きに評価できる」と話した。リスク回避などにも活用できる先物取引は、個人の資産運用にもプラスの影響があるとの認識を示した。

講演する日銀の黒田総裁(3日、東京・大手町)

講演する日銀の黒田総裁(3日、東京・大手町)

 08年秋のリーマン・ショックから10年が経過することに関連し、金融危機時に先物市場が果たす役割として「現物市場がショックに直面した場合にも、一定の価格発見機能が維持される」点を挙げた。

 一方、将来のグローバルな金融危機への備えとしては、「取引所や清算機関において、リスクを適切に管理していく必要がある」と主張した。取引所の先物取引を安定的に行うためのストレステスト(健全性審査)の実施などを求めた。

 金融の技術革新に伴って株式市場でHFT(超高速取引)の存在感が高まっていることに触れ、「市場流動性の向上やボラティリティー(価格変動)の低下が進んでいるとの実証分析もみられる」と一定の評価を示した。一方、「アルゴリズムが想定しない急激なショックが生じた場合に、市場流動性の供給を不安定化させる」との懸念にも言及。取引所の管理能力の強化の必要性を訴えた。

 日経平均先物を取り扱う米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのレオ・メラメド名誉会長も講演し、ちょうど30年前に先物取引が日本で始まったことについて「(金融の)爆発的なグローバル化の起点となった」と述べた。

 当初、株価指数で始まった先物取引は現在、為替や金利など多種多様な種類が世界の取引所で上場されている。「世界の大企業500社の9割が(先物など)デリバティブを使ってリスク分散などに活用している」と語り、日々の企業活動で先物市場の活用が不可欠になっていると強調した。

 金融の決済などで活用が進むブロックチェーン(分散台帳)技術については「日本は(この分野で)進歩を生み出しており、世界中でその利用が広がっている」と話し、この技術革新の分野で日本が主導的な役割を果たせるとの認識を示した。

 パネル討論には大阪取引所の山道裕己社長、ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井副会長らが参加した。個人投資家への普及を促す税制改正や、金利や為替、商品なども取り扱う「総合取引所」構想を進めるべきだとの意見が出た。

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