2018年11月20日(火)

トルコ8月物価17.9%上昇 続くインフレ、通貨安響く 利上げ焦点に

トルコショック
中東・アフリカ
2018/9/3 17:51
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【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ統計局は3日、8月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比17.9%上昇したと発表した。米国人牧師拘束問題を発端とする通貨リラの急落を受け、7月の同15.85%から2ポイントも悪化した。通貨安とインフレの悪循環は消費の低迷や企業財務の悪化に直結している。当面は中央銀行が13日の金融政策決定会合で大胆な利上げに踏み切るかが焦点となる。

「コストの上昇を価格に十分反映できず、利益を削っている」。8月末、最大都市イスタンブールの青空市で青果商のメフメトさん(33)はため息をついた。

リラの対ドル下落率は過去1カ月で2割強、年初からは4割強に達した。これに伴いインフレは加速。商品の野菜や果物を入れる紙袋やポリ袋の価格は過去3カ月で倍になった。政府が減税措置を講じているガソリンでさえ過去1年で1リットル5.2リラ(87円)から6.9リラへと約30%上昇した。

電力規制当局は1日、産業用14%、家庭用9%の電気料金値上げを実施した。国営パイプライン会社ボタシュも輸入に依存する天然ガス価格で同率の料金の引き上げを発表した。8月には発電用ガスの50%値上げも実施していた。

地場銀行のエコノミストは「9月にはインフレ率が20%を超え、年末以降も高止まりする」と指摘する。「下降に向かうのは2019年後半になる」とみるが、それも中銀が十分な金融引き締めを実施するとの条件付きだ。

現在の政策金利は中心の1週間物レポ金利が年17.75%。金融の引き締めによる景気後退を懸念するエルドアン大統領の圧力もあり、中銀は7月下旬の前回会合で大方の市場予想に反し金利を据え置いていた。エルドアン政権は米国による制裁措置を「経済戦争」と呼び、牧師の解放に応じないなど対米強硬姿勢を緩めていない。

中銀は3日、CPIの発表を受けて声明を発表。インフレ見通しは「物価安定への重大なリスクを示している」と述べ、「必要な措置を講じる」と表明した。これを受けリラは小幅に上昇した。

ただ、通貨防衛と物価の安定には5%以上の大幅な利上げが不可欠とみられており、エルドアン氏がこれを受け入れるかは予断を許さない。

外貨建ての債務や原材料コストなどの負担膨張に直面する企業の苦境も表面化している。靴販売チェーンのホティチは裁判所を介した債務再編手続きに入ったと発表した。自動車リース大手デリンデレや発電事業を手掛けるビス・エネルジは期日までに社債を償還できなかったと発表した。

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