2018年11月14日(水)

サントリー「特茶」、顧客の定着に健康アプリと連携

スタートアップ
サービス・食品
2018/9/3 17:20
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サントリー食品インターナショナルは3日、健康アプリを手掛けるスタートアップ企業などと組み、健康関連の取り組みを始めると発表した。自社の特定保健用食品(トクホ)「伊右衛門 特茶」の顧客の健康管理を手助けする。トクホなど健康関連飲料市場では効果を感じられない人が離脱して成長に陰りが出てきた。顧客を定着させて、持続的な成長を狙う。

 サントリー食品インターナショナルは健康アプリ企業と組み、特茶を飲み続けてもらうように促す

「人生100年の時代、健康寿命を延ばすのが大きな社会課題。特茶は生活習慣を変えるきっかけとなれる」。3日の発表会で、サントリー食品インターナショナルの沖中直人執行役員は今回の取り組みへの意気込みを示した。

同社が始める「100年ライフ プロジェクト」と呼ぶ取り組みでは、健康アプリ開発のFiNC(フィンク、東京・千代田)や、健康コンサルティングを手掛けるTHF(茨城県つくば市)などと組む。

フィンクとの連携では健康アプリを通じて健康的な食事や運動を働きかけ、特茶を割安に買えるクーポンも配信する。THFとは専用トレーナーが一人ひとりにあわせてプランを立て、特茶を含めた食事や運動を指南する。いずれも期間限定だが「景品を提供する一過性のキャンペーンにならないように、継続的に取り組みを打ち出す」(沖中執行役員)という。

疫学研究で実績をあげている九州大学など外部機関とは、生活習慣病の予防などでの共同研究を進める。成果は自社の研究開発に生かして19年以降に、脂肪対策に限らない分野で新商品の発売につなげる考えだ。

特茶を発売したのは2013年。トクホ飲料で初めて脂肪の分解に着目した商品だ。販売は16年に1680万ケースとなり、13年の5.6倍に成長した。発売以降、4年連続でトクホ系のお茶市場でシェア首位を獲得している。「黒烏龍茶」を含めた自社のトクホ飲料で、最も売上高が大きい商品だ。

その成長にも陰りが見えてきた。17年には販売が1640万ケースで前年に比べて2%減となり、初めてマイナスに転じた。18年の1~6月には前年同期で20%減に落ち込んでいるのだ。

トクホはメタボ対策として市場をけん引してきたが、近年ではトクホに比べて手続きが簡単な機能性表示食品が急速に増え、消費者庁が届け出を受理・公開した商品は直近1350件に達する。これはトクホの許可・承認(1053件)を超えている。

調査会社の富士経済(東京・中央)によると、トクホや機能性表示食品を含めた保健機能食品市場は18年に7115億円と、前年に比べて5%増える見通し。新商品が相次ぎ発売されている機能性表示食品に需要が流れ、トクホ比率は約55%と、15年に比べて約18ポイントも落ちてきている。

「市場に入ってきた顧客の離脱がある」。サントリー食品インターナショナルの溝本将洋・特茶ブランドマネージャーは、こう指摘する。

清涼飲料業界では年に約1000もの新商品が登場し、2~3商品だけ生き残るとされる。17年は特に数多くの機能性表示食品が発売され、市場が成長した。だが「あまりに多くの新商品が出てきたことで顧客が迷い、続けて使われず効果も実感してもらえず悪循環を引き起こしている」(溝本氏)というのだ。

サントリー食品インターナショナルの18年1~6月期の連結決算では日本事業の売上高が3338億円と前年同期より2%増えた一方で、利益は189億円と24%減った。採算の良い特茶の販売が振るわなかったことも響いている。

今回の取り組みは特茶を飲み続けるように働きかけることで顧客に効果を実感してもらうのが狙いだ。最終的には固定客として囲い込むことにつなげる。消費者がメタボ対策へ地道に取り組むように、同社も根気強く続けていくことが重要だ。

(新沼大)

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