ニュートリノのエネルギー、量子機構など、評価手法開発
量子科学技術研究開発機構や国立天文台などの共同研究グループは超新星爆発(星の大爆発)で放出される素粒子ニュートリノのエネルギーを精度よく評価する有力な手法を発見した。各種元素が合成される場となる超新星爆発のメカニズム解明に役立つ成果。4日付のフィジカル・レビュー・レターズ誌オンライン版に発表した。
超新星爆発のエネルギーの99%はニュートリノが持ち去るので、爆発の詳細を知るにはニュートリノのエネルギーの見積もりが重要。ニュートリノは6種類あるが、反電子型というタイプについてはエネルギーの評価手法がなかった。
今回、研究グループは超新星爆発で生じる放射性同位体テクネチウム98の約2割が反電子型ニュートリノの反応に由来することを理論的に突き止めた。
テクネチウム98は短期間でルテニウム98という安定同位体になる一方、いん石は太古の超新星爆発に由来する物質を多く含む。そこで今回得られた知見を使えば、いん石中のルテニウム98を測定することで、超新星爆発で生じる反電子型ニュートリノのエネルギーを評価できる。今後はルテニウム98が、いん石研究の重要テーマになる。
将来、スーパーカミオカンデなどの観測装置で超新星爆発の反電子型ニュートリノがキャッチされた場合、どのような星の爆発が起きたのか、より詳しく推定できるようになる。
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