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フランスアと山田、伝説に光当てた快記録
編集委員 篠山正幸

2018/9/4 6:30
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 月間登板18試合。広島のヘロニモ・フランスア(24)とオリックス・山田修義(のぶよし、26)が8月に到達した数字は「鉄腕」と呼ばれた稲尾和久投手(西鉄=現西武)、ロッテ・益田直也のプロ野球記録(2リーグ制後)に並ぶ快記録となった。2人のおかげで、伝説の時代に光が当てられることになった。

 左腕のフランスアはドミニカ共和国のカープアカデミー出身で、2014年に練習生となり、今年になって育成登録、支配下選手登録と、出世の階段を上り始めた。5月26日に1軍に昇格し、当初は先発を務めた。すぐに中継ぎに回り、36試合で16ホールド(記録は3日現在)。ペナントレースの山場である8月だけで10ホールドを挙げた。このまま広島が優勝すれば、間違いなく、立役者の一人とされるだろう。

広島・フランスアは8月だけで10ホールドを挙げた=共同

広島・フランスアは8月だけで10ホールドを挙げた=共同

 同じく左腕の山田は09年のドラフト3位で敦賀気比高からオリックスに入団。肘の手術などを経て初勝利を挙げたのが16年。昨年までの8年間で2勝13敗という成績で迎えた苦労人が今季、中継ぎで花開きつつある。

 8月の18試合の中身をみると、フランスアが17回2/3を投げ、自責点1の防御率0.51。少々不安定な広島の救援陣のなかで、日増しに存在感を増している。

 山田は8月、12回2/3を投げ、自責点5の防御率3.55。同月19日のソフトバンク戦で1死を取っただけで4失点(自責は3)の“乱調”があったために防御率が悪くなったが、まずは安定した内容で首脳陣の信頼を得ている。

オリックス・山田は中継ぎで花開きつつある=共同

オリックス・山田は中継ぎで花開きつつある=共同

 稲尾さんが月間18試合登板を果たしたのは大分・別府緑丘高(現県立芸術緑丘高)から、西鉄に入団して1年目の1956年9月だった。

 18試合の中身がすごい。

 9月1日に中継ぎで登板し、2回を投げ、翌日は先発で5回を投げ、勝ち投手に。主に抑え役を務めながら、先発もこなし、20日の高橋戦では被安打4の完封勝利を収めている。この月、6勝1敗。ほとんど打撃投手の待遇から始まった稲尾さんが、あっという間にスターにのしあがったシーズン。一番の伸び盛りの時期にできた記録だった。

 18試合で74回2/3を投げ、自責点12の防御率1.45。

 こうした数字を比べると、改めて野球も変わったとの思いを強くさせられるが、それも長い歴史があればこそ。イチロー(マリナーズ)が数々の記録を打ち立てる過程で、ウィリー・キーラーの連続シーズン200安打記録など、埋もれていた記録を次々と“発掘”していったのに似て、野球が経てきた年月の重みを、フランスア、山田は再認識させてくれた。

 レジェンドたちが記録破りの対象になったときに、「みえざる壁」が出現することが昔はあった。王貞治・現ソフトバンク球団会長の年間55本塁打の記録は“不可侵”とされるような空気があった。

 稲尾さんの記録の関係では広島の菊地原毅・現3軍投手コーチが、年間78試合登板の当時のプロ野球記録に迫ったとき、当時の山本浩二監督は球界の大先輩である稲尾さんに相当気を使ったといわれる。結局稲尾さんを抜くことはなく、タイ記録でシーズンを終えた。

 今、そうした「タブー」はなくなったと思いたい。そして、ここに至るまでにはいろいろあった……。2人の記録に、そんなことも思い出された。

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