2018年9月20日(木)

トランプリスク、米企業を翻弄 フォードの計画撤回

自動車・機械
中国・台湾
北米
2018/9/2 2:00
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 【シリコンバレー=白石武志】米トランプ政権が仕掛けた貿易戦争が自国の自動車メーカーをも翻弄している。米フォード・モーターは8月31日、計画中の中国産小型車輸入を取りやめると明らかにした。メキシコへの生産移管を撤回し、中国に活路を求めた車種だったが、近く米国の店頭から姿を消す。米ゼネラル・モーターズ(GM)は追加関税の対象になった車種への適用除外を求めている。

 トランプ政権は7月、自動車を含む340億ドル(約3兆7000億円)相当の中国からの輸入品に25%の追加関税をかけた。採算が合わなくなったのが、フォードが来年から予定していた小型車「フォーカス」の中国拠点からの輸入だ。

 31日発表の声明文では「(フォーカスの)年間販売は5万台未満。影響は軽微」とし、「他社よりも米国で多くの時給労働者を雇っていることを誇りに思う」と、トランプ氏におもねるコメントもみられたが、経営努力を損ねる「政策リスク」を痛感したはずだ。

 フォーカスはもともと、メキシコに建てる新工場でつくる計画だった。それがトランプ氏から執拗な批判を浴び、昨年1月に計画を撤回。中国生産に切り替えた経緯がある。当時は米中間の摩擦は今ほど深刻でなく、ジェームス・ハケット最高経営責任者(CEO)は人件費の安い中国での生産で「10億ドルの節約につながる」と胸を張っていた。

 フォーカスの輸入中止は同社にとり販売台数以上の意味を持つ。ハケットCEOは今年4月、北米で人気薄のセダンから撤退し、数年内に北米で販売する乗用車をフォーカスとスポーツ車「マスタング」の2車種に絞ると表明していた。

 今後の米国での製品ラインアップについて「全ての価格帯で消費者に豊富な選択肢を提供し続ける」という。フォーカスの穴を別車種で埋めようとすると、設計・開発や生産で新たなコストが生じる恐れもある。

 米GMが中国から輸入している高級車「ビュイック」ブランドの多目的スポーツ車(SUV)「エンビジョン」にも25%の追加関税がかかった。GMは「生産計画に変更はない」とするものの、年間4万台の輸入について米政府に関税の適用除外を求めている。認められなければ値上げを通じ、消費者にコストを転嫁するか、自らの利益を削るか難しい選択を迫られる。

 米国と中国は先月23日に160億ドル相当の輸入品に追加関税をかけあい、貿易戦争は「第2幕」に入った。トランプ政権は2000億ドル規模の第3弾の準備も進めている。米中の貿易戦争が長引けば、今後は自動車部品などサプライチェーンへの影響拡大は必至だ。

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