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ヤマト過大請求、一部組織ぐるみ 報告書「倫理が欠如」

ヤマトホールディングス(HD)の拡大路線が岐路に立つ。子会社の過大請求問題で外部の専門家は一部で組織ぐるみの不正を指摘。不正を黙認するなど「全社的な倫理欠如があった」と問題視した。ヤマトグループでは2017年にも宅配ドライバーへの残業代未払い問題が起きた。消費者の利便性を追求し急成長した「クロネコブランド」。信頼回復への道は遠い。

「繁忙期は(見積もりを)上乗せするものだと思っていた」「(荷物が)3箱で収まると思っても4箱で見積もるよう言われた」。ヤマトHDが31日公表した第三者委員会による調査報告書は、社内の規律が緩んでいる状況を克明に記した。

「商品設計の不備を見逃したことで不適切な請求がまん延した。大変恥ずべき事態」。ヤマトHDの山内雅喜社長は31日の記者会見でこう述べたが、問題の根は深い。

引っ越しを手がける子会社ヤマトホームコンビニエンスは、顧客との契約を定める「約款」で、見積額と実額にズレがある場合は請求額を修正するよう定めている。しかし大半の社員はその内容を知らなかったり、知っていても「みんながやっているから」と黙認したりしていた。報告書は「全社的な倫理意識の欠如があった」と指摘した。

ヤマトホーム社の売上高は引っ越し事業を中心に約500億円。業界では大手の一つに数えられるが、サカイ引越センター日本通運など上位3社との開きは大きく、業績が伸び悩むなかで近年は差が拡大していた。

こうした状況で法人契約を獲得するための値引きが頻発。その穴を埋めるため過大請求する事例も確認された。08年には見積量に応じて担当者の収入が増えるインセンティブ制度を一部で導入。収入を増やすために見積量を上乗せするケースもあった。

報告書は過大請求の全社的な組織性については否定したものの、不正をただすためのチェック機能の不備も問題視した。

ヤマトグループでは拡大路線のひずみが顕著になっていた。主力の宅配事業では17年、200億円を超える大規模な残業代の未払いが発覚。「クール宅急便」の低温管理ができていなかった品質問題も生じた。

ヤマトHDは山内社長直轄の「グループガバナンス改革室」を9月1日付で新設する。ただ事業領域の拡大で従業員数が21万人に膨れあがった組織を変えるのは容易ではない。

ヤマトは消費者の利便性を高めるサービスを実現するために行政や規制と戦う姿勢などが共感を呼び急成長した企業だ。今回、消費者の信頼を裏切る行為が発覚した。売上高の8割を占める宅配事業への余波も含め代償は大きい。

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