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不安・不信 合意形成難しく、福島第1トリチウム水の公聴会

東京電力福島第1原子力発電所が生み続ける汚染水の処理後に残るトリチウムを含んだ水(処理水)の扱いについて国民の意見を聞く公聴会が30、31両日、福島県内などで開かれた。風評被害への不安や、国や東電への不信感を訴える声が相次ぎ、政府内や東電で検討されている海洋放出にも反対が続出。合意形成の難しさが改めて浮き彫りになった。

公募された意見表明者ら(手前)が有識者会議の委員に質問する場面も(31日、福島県郡山市)

公聴会は経済産業省の有識者会議が実施した。福島県の富岡町と郡山市の2会場で意見表明したのは延べ28人。公募に応じた個人や団体の代表で、申込数が限られたため抽選はなかった。国の原子力規制委員会などが主張する希釈後の海洋放出を支持したのは富岡、郡山でひとりずつだった。

不信感の大きな理由は、トリチウム以外にも除去し切れてない放射性物質が残留する問題だ。公聴会の開催決定後に広く報じられたため「国民に十分な説明がされていない」「議論の前提が崩れた」との反発が続出した。資料には処理水は「取り除くことのできないトリチウムを含む」との記述があるが、他の物質への言及はほとんどない。

処分方法として示された5つの選択肢にタンク貯蔵の継続がないことへの疑問も目立った。原発敷地内の建設用地が限界に近づいていることが出発点にあることが背景だが、石油に使う10万トン級の大型タンクで放射能の減衰を待つ長期貯留も複数の発言者が提案した。郡山会場では「敷地内しか保管できないかのように誘導するのは間違っている」「廃炉となる(方針の)福島第2原発の敷地もある」などの指摘があがった。

規制委の更田豊志委員長が、基準を下回るまで希釈した上での海洋放出を「実行可能な唯一の選択肢」と発言していることを「結論ありき」とみる反発もあった。郡山では有識者会議のメンバーが「長期保管の選択肢がないこと(がおかしいとの考え)には、まったく同感」(辰巳菊子委員)、「(有識者会議で海洋)放出とは一切、言ってない。勝手に言っているのは(規制委がある)原子力規制庁だから誤解しないで」(田内広委員)と発言するなど、国側が一枚岩ではないことも浮かび上がった。

トリチウム水の処分方法の合意形成をめざしながら、その難しさを示した公聴会。今回の議論を無駄にしない責任感と、より良い解を求める粘り強さを関係者が共有できなければ、なかなか出口は見えてこない。

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