2018年9月19日(水)

中国四大銀、1~6月6%増益 貿易戦争受け融資拡大へ

貿易摩擦
金融機関
中国・台湾
アジアBiz
2018/8/31 18:22
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 【香港=木原雄士】中国の大手銀行の業績が好調だ。四大国有銀行の2018年1~6月期の純利益は前年同期比5.7%増え、不良債権比率も低下した。下期は米中貿易戦争による景気の落ち込みを防ぐため、インフラや中小企業向け融資を増やす方針だ。収益力の弱い企業への貸し出しは不良債権の温床になるリスクをはらむ。

中国の大手銀行はインフラ向け融資を拡大する方針だ(建設中の港珠澳大橋)=ロイター

中国の大手銀行はインフラ向け融資を拡大する方針だ(建設中の港珠澳大橋)=ロイター

 国有銀はここ数年、低成長が続いていたが、回復基調が鮮明になっている。利ざやの改善や手数料収入の増加が追い風となり、4行合計の純利益は5321億元(約8兆6000億円)に達した。6月末の不良債権比率は平均で1.52%と、17年12月末と比べて0.06ポイント低下した。

 最大手の中国工商銀行の易会満・董事長は電話会見で「個人向けの新規貸し出しが好調で、資産の質も向上した」と語った。中国当局が進める過剰債務の圧縮(デレバレッジ)は、調達コストの上昇などを通じて中小金融機関に打撃となっている。ただ、潤沢な預金を持つ四大銀の利ざやはそろって改善した。

 当局が銀行を介さずに資金をやり取りする「影の銀行」やネット上で個人の資金の貸し借りを仲介する「ピア・ツー・ピア(P2P)金融」を締め上げた結果、資金需要が大手銀に向かっている面もある。

 もっとも、年後半に向けてはリスクを抱えている。貿易戦争が激しくなり、中国政府が国内景気の下支えに力点を置き始めたためだ。銀行保険監督管理委員会は8月に出した銀行向け指針で輸出企業への貸し出しを増やすよう促した。銀行が地方債に投資しやすいように自己資本比率の計算方式を見直す方針だ。

 政府方針を受け、四大銀は決算会見で融資を拡大する方針を表明した。中国建設銀行の王祖継行長は「貸し出しを増やしてインフラプロジェクトや中小企業の活動を支える」と述べた。中国銀行も政府が推進する新都市「雄安新区」の建設や、広域経済圏構想「一帯一路」に絡むインフラ計画を後押しする考えだ。

 デレバレッジをはじめとする構造改革は、不採算プロジェクトや競争力が弱い企業への融資を絞り、長い目でみて経済や金融の安定性を高めるねらいがあった。各行とも「資産の健全化を引き続き推進する」(中国農業銀行の郭寧寧副行長)としているものの、融資姿勢が緩めば将来、不良債権が増える可能性も出てくる。

 四大銀の総資産はこの10年で3倍になった。貸し出しが伸びて不良債権比率は低下しているが、実額ベースの不良債権額は高止まりしている。国有の資産管理会社に債権を売却してバランスシート(貸借対照表)から切り離す「直接償却」という不良債権処理方法では、国として抱えるリスクは変わらないとの見方もある。

 銀保監会によると、中堅・下位行を含む中国の商業銀行の不良債権比率は6月末に1.86%となり、3月末に比べて0.12ポイント上昇した。社債の債務不履行も増えており、銀行のリスク管理が一段と問われる局面に入っている。

 貿易戦争の影響を警戒する声もある。工商銀行の易氏は「貿易摩擦が世界経済と中国経済に不透明感をもたらしている」と指摘。農業銀の趙歓行長も「中国経済の先行きには自信を持っているが、貿易摩擦の影響はよくみなければいけない」と述べた。

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