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ヤマト、引っ越しの新規受注休止 個人向け含め

ヤマトホールディングス(HD)は31日、個人も含めた全ての引っ越しサービスの新規受注を中止すると発表した。子会社が代金を過大請求していた問題を受けた措置。外部の専門家による調査では、過大請求の16%が「悪意」のある上乗せと認定した。ヤマトを巡っては残業代の未払い問題など不正が相次ぎ発覚しており、企業イメージの悪化や業績への影響が避けられない。

ヤマトHDと法人向け引っ越しサービスを手がける子会社のヤマトホームコンビニエンス(東京・中央)が31日、社外弁護士ら第三者委員会による調査報告書を国土交通省に提出した。

ヤマトHDは同時に、法人向けだけでなく個人向けの引っ越しサービスについて新規受注を中止すると発表した。期間は未定だが「商品の再設計や約款順守の徹底が完了するまで」としている。

ヤマトHDの山内雅喜社長は同日、記者会見し「全てのお客様の信頼を裏切り深くおわび申し上げる」と陳謝した。

調査報告書によると、ヤマトホーム社の法人への過大請求額は、伝票からさかのぼれる2016年5月~18年6月の2年2カ月間で約17億円。また過去5年間では約31億円と見積もっている。第三者委は過大請求について「10年ごろから徐々に始まり全国的に増えていった」(委員長の河合健司弁護士)とした。

過大請求の中には、採算性を高める目的など「悪意で上乗せした見積もり」があったと指摘。第三者委は17億円のうち約16%が悪意で上乗せしたと推計した。これらは全国11の統括支店のうち四国や関西、東京など5カ所で生じていた。統括支店長が黙認していた組織ぐるみの上乗せは「四国以外には認められなかった」(河合委員長)という。

ヤマトグループを巡っては17年にも宅配ドライバーへの残業代未払い問題が発覚した。引っ越し子会社の売上高は全体の3%と小さいが、意図的な不正も指摘されたことで消費者や顧客企業のイメージ悪化は避けられない。主力の宅配事業にも影響が及ぶ可能性がある。

同社は再発防止へ向け、山内社長直轄の「グループガバナンス改革室」を設置。9月から引っ越し商品の見直しを進めるほか、HDの神田晴夫副社長がヤマトホーム社の会長を兼務する。

HDは木川真会長や山内社長、神田副社長の3人が月額報酬の3分の1を3カ月間自主返上するなど、役員5人を処分する。ヤマトホーム社では問題発生時に社長を務め現在は別のグループ会社社長の2人を降格、現社長ら6人を減俸とした。

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