日アフリカ、元首脳が賢人会議 支援に自主性、中国にらむ
安倍晋三首相は31日、日本とアフリカ諸国の元首脳らでつくる「アフリカ賢人会議」の初会合を都内で開いた。2019年8月に横浜市で予定するアフリカ開発会議(TICAD)に向け、域内で発言力を持つ大統領経験者の意見を聞いて支援策を検討する。アフリカで存在感を高める中国をにらみ、地域の自主性を重んじた支援を目指す。
賢人会議は森喜朗元首相とモザンビークのシサノ元大統領が共同議長を務める。アフリカからベナン、タンザニア、ナイジェリア、南アフリカ各国の大統領経験者が参加。いずれも70~80代で、アフリカで紛争の対処や民主化の動きをリードしてきた経験を持つ。
日本側は首相や河野太郎外相が入った。首相は「アフリカの声を踏まえた取り組みが近道だ。TICADを成功に導くための準備を充実させたい」と訴えた。
念頭に置くのは中国の動きだ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を掲げ、アフリカで多額の資金を投入したインフラ整備を進めている。アフリカへの中国企業の進出も相次いでいるが、途上国の返済能力を無視した貸し付けなどが問題になっている。地域の意見を聞いて支援策を練る仕組みをつくり、中国が進める支援との違いを示す。
首相は16年のケニアでのTICADで、アフリカで3年間で官民あわせて300億ドル規模の投資をする方針を表明した。日本による港湾工事の受注や、物流企業の進出といった事例も出ており、19年のTICADで新たな支援策を打ち出す。