2019年3月21日(木)

嫡出否認の民法規定は「合憲」 見直しは立法に委ねる 高裁判決

2018/8/30 22:51
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生まれた子供との父子関係を否定する「嫡出否認」の権利を夫だけに認めた民法の規定を巡っては、無戸籍者を生む原因とも言われてきた。この規定が違憲かどうかが争われた訴訟で、二審・大阪高裁判決(江口とし子裁判長)は30日、「一定の合理性がある」とし、合憲との判断を示した。判決は現行制度の見直しについて国会での議論に委ねており、無戸籍者解消に向けた国の動きを加速させそうだ。

「嫡出否認」を巡る訴訟の控訴審判決のため大阪高裁に向かう原告ら(30日午後)=共同

無戸籍者715人のうち約75%が、夫の戸籍に記載されるのを避けるために出生届を出さず、無戸籍になったとみられている。

原告となった兵庫県の60代の女性も約30年前、暴力が原因で当時の夫と別居し、その後離婚。この間に別の男性との間に娘が生まれ、夫との離婚後に男性の子として出生届を出したが、受理されず、子供たちは無戸籍者となった。

高裁判決は一審に続き、女性ら原告4人の損害賠償請求を認めなかった。その上で伝統や国民感情などを踏まえ、「国会の立法裁量に委ねられるべき問題。家族を巡る制度全体の中で解決を図るべきだ」などと指摘し、立法への対応を求めた。

嫡出推定を含めた家族制度を定めた民法の規定の多くは、120年前の明治時代に作られたものだ。社会の変化に伴い、家族観や家族形態にも変化が生じており、近年、最高裁の違憲判断が相次ぎ、見直しの議論が活発になっている。

13年9月には、結婚していない男女間の婚外子の遺産相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を最高裁は違憲と判断。15年12月には、6カ月とされた女性の再婚禁止期間のうち100日を超える部分を違憲とし、それぞれ法改正につながった。

棚村政行・早稲田大教授は「制度が社会の実情にそぐわないことは明らか。問題を先送りする形になったのは極めて遺憾。国会は立法府としての責任を自覚し、古くなった民法の見直しに全力で取り組んでほしい」としている。

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