2018年9月23日(日)

もんじゅ廃炉もいばらの道 燃料取り出し最初の難関

北陸
科学&新技術
2018/8/31 6:30
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 高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の30年に及ぶ廃炉作業が本格的に始まった。日本原子力研究開発機構は30日、使用済み核燃料を一時保管用の貯蔵槽から取り出し、水のプールに移す作業を始めた。ただ、原子炉を冷やす液体ナトリウムの取り扱いは極めて難しい。世界でも前例が少ない取り組みに、経験の乏しい同機構がどこまで安全に遂行できるか先行きは不透明だ。

もんじゅで使用済み核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら(30日午前)=共同

 もんじゅは高速増殖炉と呼ぶ次世代型の原子炉の原型炉(プロトタイプ)だ。通常の原子力発電所で使われている軽水炉と構造が大きく異なり、世界でも廃炉作業の実例は少ない。

 その中でフランスがナトリウムを使った高速増殖炉原型炉「フェニックス」の廃炉を進めており、技術や経験の蓄積がある。原子力機構は今年1月にもんじゅの廃炉作業で仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)の協力を得ることで合意したと発表した。

 もんじゅの最大の特徴は、原子炉を冷やす冷却材に液体ナトリウムを使う点だ。軽水炉は普通の水を利用している。液体ナトリウムは水や酸素と激しく反応して燃える性質があり、取り扱いにはより慎重さが求められる。もんじゅでは1995年12月、配管からナトリウムが漏れて火災が発生する事故が起きた。

 もんじゅの廃炉計画は2047年度まで30年をかけ、4段階に分けて進める。燃料の取り出しは第1段階の中心となる作業だ。もんじゅは原子炉内に370体、炉外の貯蔵槽に160体の燃料が残り、液体ナトリウムに浸っている。

 密閉した空間で機械を使い、慎重に燃料を取りだしていく。まずは貯蔵槽にある燃料を1日1体のペースで取り出し、年内に100体を保管用のプールに運ぶ。19年度に原子炉内の燃料取り出しも開始する。22年度までに計530体をすべて取り出して洗浄し、プールに運ぶ予定だ。

 「2次系」の液体ナトリウムの抜き取りも年内に完了させる計画だ。作業の第2段階以降は、原子炉を満たす「1次系」の液体ナトリウムの抜き取りが難関となる。1次系ナトリウムは核燃料に触れて放射性物質に汚染されており、2次系よりさらに扱いが難しい。

 だが、1次系ナトリウムの抜き取りや、使用済み燃料やナトリウムなどの処分については具体的な方法がまだ決まっていない。同機構は22年度までに計画を検討するというが、内容次第では現在3750億円以上と試算される廃炉費用が大きく膨らむ可能性がある。

 もんじゅは94年の稼働からトラブルが相次いだ。95年のナトリウム漏れ事故に続き、運転再開後の2010年には炉内中継装置の落下事故を起こし、再び止まった。廃炉が決まった16年までの22年間でたった250日しか稼働していない。

 燃料の取り出し作業も当初は今年7月の開始を予定していたが、機器の点検などの準備段階で不具合が相次いだため、8月にずれ込んだ。

 原子力機構がもんじゅの運営管理などで十分な経験を積めたとは言い難い。課題が山積みのなか、今後、安全を確保しながら着実に廃炉できるかどうかについては疑問が残る。

(越川智瑛)

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