2019年3月20日(水)

欧州の夏時間、8割超が「廃止」求める
EUの意見公募、見直し論議加速へ

2018/8/30 19:00
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【ブリュッセル=森本学】欧州でサマータイム(夏時間)の廃止を求める声が広がっている。独メディアによると、欧州連合(EU)が8月中旬まで実施したパブリックコメント(意見公募)で8割超が廃止を支持した。EUの執行機関である欧州委員会は30日、廃止の是非を巡る本格的な検討に着手。意見公募の結果を受けて廃止論が勢いづく可能性が大きい。

欧州委は7月から8月中旬にかけて、EU域内の市民に夏時間の廃止の是非やその理由などを聞いた。欧州委によると、全28加盟国から460万件以上の意見が寄せられた。これまでのEUの意見公募で最高の件数を記録し、市民の関心の高さを浮き彫りにした。

廃止支持が多数となったのは、手間がかかるわりに、省エネルギーなどの効果が乏しいという見方が広がったためとみられる。夜間のエネルギー消費の削減が期待されたが、パソコンなど日照時間と関係なく使う電気製品が増えたことで効果が限られている。

高齢者や子どもの健康面への悪影響を心配する声も強まっている。

欧州議会が2017年10月にまとめた報告書では、体内時計への悪影響による睡眠障害や注意力低下に伴う事故の増大、心臓発作のリスク増などの可能性を指摘。18年2月に特別決議を採択し、徹底的に現行制度を検証して、必要ならば廃止も含めた見直しをするように欧州委に求めた。

夏時間の問題を担当するブルツ欧州委員は30日の欧州委の会合で、今回の意見公募の結果をユンケル欧州委員長らに報告し、欧州委としての加盟国や欧州議会への提案づくりに着手する。

ブルツ委員は2月、加盟国政府の間で夏時間の見直しの機運は低いと指摘し、慎重な構えを見せていた。だが、8割超が廃止を支持したことで、見直しの動きが加速するのは必至。19年5月の欧州議会選前に、廃止法案を採択すべきだとの声も議会内で上がり始めた。

EUは加盟28カ国に共通の夏時間「デイライト・セービング・タイム(DST)」を導入。3月の最終日曜日に時計を1時間進めて夏時間とし、10月の最終日曜日に標準時間(冬時間)へ戻す仕組みだ。欧州では1970年代後半から本格導入する国が相次いだ。日本でも2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、「暑さ対策」として議論されている。

欧州委は夏時間を巡り、域内で統一した対応をとる方針。加盟国ごとにバラバラになれば、国境を越える列車などの交通網や域内貿易のコストを大きく引き上げる懸念があるためだ。

独地方紙のウェストファーレンポストは28日、EU関係者によると8割超が夏時間の廃止を支持したと報じた。460万件のうち約300万件はドイツから寄せられた意見だったという。

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