ロシア疑惑、選挙前解明へ攻防 トランプ氏聴取が焦点

2018/8/30 17:27
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領周辺とロシアの不透明な関係を巡り、トランプ氏と疑惑を捜査するモラー特別検察官の対立が激化している。トランプ氏は11月の米議会中間選挙を視野に早期の捜査終了を求めているが、モラー氏は真相の解明にはトランプ氏の聴取が必要と訴える。捜査の結果はトランプ政権の政策実行力に影響を与える可能性もあり、今後も両者の激しい攻防が続きそうだ。

モラー氏は主に2つの疑惑を捜査している。1つが、2016年の米大統領選でトランプ陣営とロシアが共謀した疑い。もう1つが、トランプ氏が司法当局の疑惑捜査を妨害した疑いだ。前者については16年6月にトランプ陣営がロシア人弁護士から対立候補だったクリントン元国務長官に不利な情報を得た可能性が浮上。後者の捜査妨害では、司法当局や情報当局に捜査方針の変更を求めていた疑いがある。

疑惑を否定するトランプ氏は、あの手この手でモラー氏に圧力をかけている。28日には、中国がクリントン氏のメールを盗んだと主張し、司法省や米連邦捜査局(FBI)の捜査がロシア疑惑に偏っていると批判。中国問題を捜査しなければ「当局の信頼は永遠に失われる」と訴えた。米メディアによると、FBIは29日の声明でトランプ氏の主張を否定した。

トランプ氏は当局批判とともに、9月7日までの捜査終了も要求している。中間選挙直前などにロシア疑惑の捜査内容が公になれば、与党・共和党に不利に働く可能性がある。8月上旬にはセッションズ司法長官に「捜査を今すぐ終えるべきだ」と迫った。

米メディアによると、モラー氏は捜査早期終了の条件にトランプ氏の聴取を挙げる。ただ、トランプ氏側からすると、自身の証言とモラー氏が集めた捜査内容が矛盾した場合、即座に偽証罪に問われるリスクもあり、聴取をめぐる交渉は平行線が続いている。

聴取が実現できなければ、モラー氏がトランプ氏を大陪審に召喚して法廷で証言を求める案が視野に入る。現職大統領は過去に大陪審に召喚されたことがなく、トランプ氏が拒否すれば、召喚の是非自体を連邦最高裁判所が判断するという異例の事態になる。

米ハーバード大のアラン・ダーショウィッツ教授はトランプ氏の証言が得られないとモラー氏の捜査が不完全なものになると指摘。モラー氏は中間選挙前に現時点での捜査内容を議会に報告し、捜査の完了に、聴取や大陪審への召喚が必要との主張を強めるとみる。

モラー氏がトランプ氏によるロシアとの共謀や司法妨害を明確に立証できれば、米議会で大統領弾劾を求める声が出る可能性がある。弾劾手続きの開始には、下院で過半数の議員の賛成が必要だ。現時点では共和党が過半数を占めているが、11月の中間選挙で民主党が下院を奪還すれば、手続きの開始が現実味を帯びてくる。

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