2019年4月24日(水)

マイナンバーの2019年問題(大機小機)

2018/8/30 16:30
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日本に住民票を有する、すべての人が持つ12桁の個人番号。税や年金など行政手続きに用いる「マイナンバー」が始まったのは2016年1月である。以降、投資信託などの口座を新たに開設するには、マイナンバーの届け出が義務付けられることになった。

ならば、それ以前の15年末までに開設された口座はどうか。金融機関には3年間の猶予が認められ、顧客からマイナンバーを届けてもらうことになっている。

言い換えると、18年末にはこの猶予期間が終わる。今年末までに、すべての口座について届け出が済んでいなければならないのだ。

ある証券関係者が、投資信託口座について聞き取りをして驚いたという。「15年末までに開設された口座では、かなりの数が依然としてマイナンバー未届けのままになっている」からだ。このまま猶予期間の切れる19年1月を迎えたら、何が起こるのだろうか。

投信の収益分配金を受け取る者は、受領に関する告知書を支払いの取扱者に提出しなければならない。

この受領告知書にはマイナンバーが記載される。

支払いの取扱者は、この告知書を提出してもらった後でなければ、分配金を支払うことができない――。

所得税法224条が定める、こうした手順を踏まなければならないのである。字義通り厳密に解釈すれば、マイナンバー未届けの口座の顧客に対しては、収益分配金を支払えなくなってしまう。

「『いくら何でも』ということで、実際には顧客に分配金を払い続けようとしている金融機関が多いようだ」と先の証券関係者はいう。経済全体への影響を考えれば妥当な対応かもしれない。それにしても、金融機関の多くが違法な分配金の支払いに手を染めるのは、望ましいわけがない。

税務当局や金融当局はこうした事態には眉をひそめ、金融機関に早急な是正を求めることになろう。19年1月以降、金融機関は顧客と当局の板挟みとなって苦しむことが予想される。

だからこそ、顧客に「18年末までにマイナンバーの提出を」と強く求めるしかない。税務・金融当局への対処としては、顧客の反応などやり取りをキチンと記録しておくべきだろう。夏休みの宿題のように最後の最後になって慌てるのは禁物である。(和悦)

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