勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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アジアの新勢力台頭、U21日本代表にも貴重な体験

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2018/8/31 6:30
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インドネシアのジャカルタで行われている第18回アジア競技大会で、これまでの勢力図に変更を迫る、力の台頭を感じた。21歳以下(U-21)の若い選手が躍動し、9月1日の決勝戦で韓国と金メダルを懸けて戦うことになった日本だが、うかうかしていられないと身が引き締まる思いだ。

勃興するアジア、サッカーの強化にも

アジア大会のメーン会場として改修され、すっかりきれいになったジャカルタのセナヤン・スタジアムは私にとって思い出の地だ。田中孝司監督の下で、日本が初めてアジア予選を勝ち抜いて出場した1995年ワールドユース・カタール大会。その予選の舞台が94年にジャカルタで行われたアジアユース選手権だった。

コーチとして参加した私は、まだ10代だった中田英寿や田中誠、松田直樹(故人)といった選手たちと世界への扉を開いて喜びを爆発させたものだ。

日本代表のコーチや五輪監督だった昔から、ジャカルタには何度も来ているが、その変貌ぶりには毎回驚かされる。来る度に高層ビルの数が増え、街には若い人があふれている。道路の渋滞もすごい。選手を乗せたバスがパトカーに先導されてスタジアムを目指しても、道自体がクルマでぎっしり埋まっているから効果なし。それくらいの混雑ぶりだった。

勃興するアジアの熱気は今大会のサッカー競技全体からも感じられた。男子は出場25チームをAからFまで6組に分けて1次リーグを戦い、各組上位2チームに、各組3位の中で成績上位の4チームを加えた計16チームによる決勝トーナメントで優勝を争う形式だった。

男子選手の出場資格は23歳以下(U-23)をベースとしつつ、3人まで年齢制限なしのオーバーエージ(OA)が認められた。しかし、この大会を2年後の東京五輪の強化に役立てるために使った日本は一人もOAを用いず、また年齢もU-23ではなく、全員U-21の選手を送り込んだ。

2年後の東京五輪サッカー男子は、3人のOA枠を除けば、全員がU-23(1997年1月1日以降生まれ)で戦わなければらならない。東京五輪をにらめば、2年後に23歳になる21歳の選手を今から鍛える必要があり、アジア大会も貴重な経験を積む場として使ったのだ。

日本と同じく今回、U-21の選手だけで戦ったチームにバーレーンやサウジアラビアがある。そういう編成でサウジもバーレーンもベスト16に残った。両チームとも日本と同じく「今」ではなく、2年後の東京五輪を見据えてのことだろう。

兵役免除かけ、フルスペックの韓国

一方、U-23の選手とOAも用いた"フルスペック"でインドネシアにやってきたチームがある。OAでフル代表のエース、孫興民(トットナム)まで連れてきた韓国もそうだった。何が何でも優勝するために。

韓国のアスリートにはアジア大会で優勝すると兵役免除の恩典がある。英国のプレミアリーグは既に新シーズンが開幕しているが、その大事な時期に孫がアジア大会出場を望み、トットナムが大会参加を許したのも、そのご褒美を何としてもつかんでほしかったからだろう。韓国のアスリートにとって兵役は、キャリア形成の上でそれだけデリケートな問題ということだろう。韓国の選手が日本との決勝戦に並々ならぬ覚悟で臨んでくることは火を見るより明らかなことだ。

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