勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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アジアの新勢力台頭、U21日本代表にも貴重な体験

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2018/8/31 6:30
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アジアをけん引する立場の日本は一戦一戦、成長の跡を見せながら決勝にたどり着いた。1次リーグはネパールとパキスタンに連勝したものの最終戦でベトナムに0-1で敗れ、決勝トーナメントはD組2位で進出。そこからはマレーシア、サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)にすべて1点差勝ち。OAを使わず、大会規定より2歳下の選手で戦って、銀メダル以上を確定させたことは成功といっていいのではないか。

「ジャカルタ発」、そしてカタールW杯へ

今回の日本代表はJリーグの期間中に大会があることから、Jクラブにお願いして1クラブにつき1人の条件で選手を提供してもらった。Jリーグの過密日程を縫っての参加で、インドネシア到着は日本の初戦前日の午前3時という強行軍。昔ならそれでも1次リーグは全勝で勝ち抜けるような感じだったけれど、もはやそんな時代ではない。

それでも、準々決勝から準決勝は中1日というハードスケジュールの中で選手たちが貴重な経験を積めたのは間違いない。コーチたちに教えられて身につくレベルをはるかに超えたものが、こういう過酷な戦いにはあるものだ。19日間で7試合という日程、日本のように美しく整っていないピッチで、一つ一つの相手のボディーチェックも厳しい中、どうやって自分の持てる能力をしっかり発揮していくか。これはそういう環境に放り込まれないとなかなか身につかない。

2年後の東京五輪も短期間に6試合を戦い抜かなければメダルに届かない。気候条件はジャカルタより8月の東京の方がもっと厳しいかもしれない。それでも「メダルマッチ(決勝あるいは3位決定戦)」の6試合目に「ベスト」とは言えないまでも、ベストに近い状態で戦えないとメダルは手に入らないだろう。

そうなるためには登録18人全員を使い回して、体力的な負担を応分にする戦略も必要だし、一つの同じ空間で起居をともにし、同じような食事を口にしても、ストレスをため込まない耐性も求められる。本当の意味でタフな選手でないと戦えないわけだ。W杯本大会にも相通じる、そういう実戦での試行錯誤が「ジャカルタ発」としてアジア大会で本格的に始まったのである。

東京五輪が終わると、すぐにカタールのW杯が待っている。選手の若返りが求められる今、五輪とW杯の関係はいつにも増して重要だと認識している。

振り返ると、00年シドニー五輪と2年後のW杯日韓大会は人材供給の面で"直送"ができた大会だった。OA出場の楢崎正剛(名古屋)、森岡隆三(当時清水)を除くと、シドニー五輪代表から中田英寿(当時ローマ)、松田直樹(当時横浜M)、宮本恒靖、稲本潤一(当時G大阪)、中田浩二、柳沢敦(当時鹿島)、明神智和(当時柏)の7人が日韓大会の主軸としてプレーした。34歳の中山雅史(当時磐田)、31歳の秋田豊(当時鹿島)を最終的にメンバーに入れて平均年齢は1歳ほど上がったが、中山と秋田を除くと24歳半ばという非常に若々しい代表チームだった。

世代交代というのは強制的にやるものではない。任せるに足る下が育っているという手応えがあって、初めてチャンスを与えることもできる。そういう自然なサイクルを可能にするためにも育成をしっかりやらなければならない。幸い、現在のアンダーエージの日本代表はU-17、U-20ともW杯出場を果たすなど順調に選手は育っている。東京五輪世代も既に堂安律(フローニンゲン)のような海外組を輩出している。

東京五輪からカタールW杯にかけて、「シドニー経由日本行き」と同じ流れを再現することは決して不可能ではないだろう。当時のフィリップ・トルシエ監督と同じく、五輪代表とフル代表を兼任する森保一監督はそれを推進できる立場にある。微力ながら、私もそんな監督のサポートに全力で取り組みたいと思っている。

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